社会保障110兆円超える 厚生年金制度はどこかで行き詰まる
少しまじめな話をします。
社会保障の二本柱といえば、一つは国民皆保険制度による医療保険制度です。もう一つは年金制度です。
平成25年度の社会保障費がニュースになっていました。
〈平成25年度〉 |
社会保障費 |
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114兆円 |
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主なもの |
医療 |
35兆円 |
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年金 |
55兆円 |
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介護 |
9兆円 |
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財源 |
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社会保険料 |
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63兆円 |
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税金 |
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43兆円 |
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資産運用 |
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10兆円 |
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大きい意味での財源はGDPですのでGDPの23% |
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この二つの保険制度、社会保障制度を賄うために健康保険料、年金保険料を払っているわけですが、それだけでは足りないという事で結局日本の国が毎年43兆円程のお金を注ぎ込んでいる。これが日本の国家予算の赤字の原因であり、それが税収ではカバー出来ずに積み重なったものが国債の残高であるというのが大雑把な見方でしょう。
今消費税を引き上げてなんとか赤字が出る金額を減らし、国債が増加する割合を下げようとしているところですが…。
普通の家計であれば、赤字が出るのであれば支出を減らそうとします。収入よりも経費が多いから赤字になるのであり、支出を下げてなんとか赤字を抑え黒字にしようとします。しかし、残念ながらますます赤字は増えていきます。
私は、年金制度はかたち上残るけれどもどこかで大きく破綻し、年金給付は引き下げざるを得ないだろうと考えています。従って、自分たちの老後資金は自分たちで貯めていくのが正しいと考えています。
今、年金制度は世代間の助けあいであると言っておりますし、また自分たちが払っている年金保険料は現在貰っている人たちに回される賦課方式である。決して将来自分たちがもらう為に積立てている積立方式ではないとされています。賦課方式はある世代の年金を次の世代が負担するという一種のねずみ溝です。人口が減少する社会では必ず破綻します。
勿論、国の存在価値は社会保障を提供する事、及び国の安全を守る事ですから、国の存在意義そのものが無くなる、社会保障が無くなるとは思いません。ただ、特に国民の命に直接関係のない年金については劇的な引き下げが一種の経済パニックの後に実施されざるを得ないと思います。ソ連からロシアになった時の大インフレ、及び、今ギリシャで起きている年金の引き下げがその例です。
厚生労働省は明確なウソをついています。そのことを初めて「金融政策の死 野口悠紀雄 著」で知りました。野口悠紀雄氏は東大卒業後大蔵省入省、東大教授等を経て名誉教授になってらっしゃる方です。(75歳)
超整理法で一躍有名な方と私は理解していましたし、また、その発言内容も国よりに添った発言ですのでまともに本を読んでいなかったのですが、今回たまたま上記の本を読んでみるとデータ的には正しい事が書いてあります。
(関係部分の本の要約)
『1960年代に年金制度が導入された時、実は賦課保険料方式ではなく積立保険料方式で制度設計が行われています。日本の公的年金は積立方式として計画され運営されてきました。その証拠は年金給付方式に保険料納付期間が入っている事です。賦課方式ならば年金額を納入期間に関連づける必要がありません。
1970年以前、年金給付総額は極めて少額であったこと、賦課方式なら制度発足直後から本格的な支払が始まるからです。しかし、保険料引き上げを続けざるを得ない事態に至って厚生省は修正賦課方式という説明に転じました。そして現在は世代間の助けあいという美しい言葉で賦課方式になっています。しかも、現在の保険料を支払えば将来の保険が安全なのかといえばそうではありません。その根本的な原因は保険料が安すぎた事です。積立方式が破綻した理由は非常に簡単で、保険料を預かってから支払うまでの期間、その保険料を運営していくときに想定している金利が極めて(予定利率といいます)高かった為であります。』
当初は5.5%で計算されていました。この5.5%で運営していた時代であっても年金は不足していました。今、保険料の給付の年金の引き下げにしても過去に安い保険料しか払わなかった人なのだから年金の引き下げは当然であるというキャンペンがやがて行われると思います。
2014年度で保険料を計算するうえで、毎年保険料を払う人の予定利率は4.1%です。つまり、預かった保険料を毎年4.1%で運用していけば年金が払えるという計算です。ちなみに、上場会社は何パーセントを使っているのでしょうか。
正確にいうと、今の日本の公的年金の不足額は550兆円とされています。とてもまともな神経ではありません。極端な形で最終的にはインフレと資本逃避をもたらすというのが結論だと思います。
財務的にも老後に備えることが大切ですね。
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