Archive for 生前対策

デジタル遺品と相続対応


~デジタル資産が永遠に無くなる~
相続でデジタル遺品のパスワード等が分からないと手続きが大変です。
特に仮想通貨の場合は暗号キーが分からないと永遠に失われる可能性もあります。


1、デジタル遺品とは、故人が遺したデジタル機器やインターネット上に残したデータのことです。
デジタル遺品では下記のようなトラブルが起こります。
①パスワードや暗証番号がわからないので財産の把握ができない。
②デジタルにある相続財産が永久に眠ってしまう。
③接続管理できないので株や FX で大損失することもある。
④仮想通貨(暗号資産)等どこの取引所で何の資産を持っているかわからない。


2、このような場合のデジタル遺品の対処方法と手順
①リアルの遺品から手がかりを捜す
個人が使用していたパソコンやスマートホン等に関する郵送物などから手掛かりになるアカウント等を探す。
金融商品は預金通帳に入出金の記録がありますし、メール等のやり取りから調べるのも一法です。
事情を話せば取扱店で対応してくれるところもあります。
②データの移行
パスワード等が分かり解除できたものはデータを自分のパソコン等に移す。
その際に不正アクセス禁止法に抵触しないように作業してください。
不正アクセス禁止法とは、本人以外の人が利用者を装ってネットワークに接続することを禁止する法律です。
③解約・承継手続きをする。
取扱店で解約・移行等手続きをする。
④最後は専門家に依頼する
デジタル遺品についての相談やデータ復旧の手助けをしてくれる団体や、パスワード解除や SNS のアカウント削除まで代行してくれる会社などもあります。


3、デジタル遺品対策
①相続人が分かるようにしておく
死後に相続人たちが困らないように、エンディングノートや遺言等でデジタル遺品の管理方法や場所等を明らかにしておく。
②バックアップを取っておく
デジタルだとデータを紛失することもあるのでバックアップを取っておく

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自筆証書遺言書保管制度の創設

~裁判所による検認不要の遺言~

自分の財産を誰にどのように残したいか、自分の意思を伝えるための遺言書は、主として本人が遺言の内容・日付・氏名等を書き押印し保管する「自筆証書遺言」または、本人が内容等を公述し公証人が筆記し公証役場に保管される「公正証書遺言」の方式により作成されます。「自筆証書遺言」の場合、自宅に遺言書を保管することもできますが、紛失や盗難、偽造や改ざんのおそれがあったり、せっかく書いても発見されなかったりすることがあります。そこで、大切な遺言書を守るため、今年の7 月10 日から、法務局で保管する制度( 自筆証書遺言書保管制度)が施行されました。

この制度は、法務局(遺言書保管所)で自筆証書遺言書の原本と、その画像データ等を保管する制度です。この制度を利用すれば、遺言書を紛失や改ざんなどから守ることができます。そして、遺言書の画像データでも保存されるので、全国の遺言書保管所でモニターを使 って閲覧することができます。また家庭裁判所における検認の手続が不要になります。

遺言者が遺言書を預けるときは、本人が遺言書保管所に出向いて手続をする必要があり、保管後、遺言者の生前中は、遺言者本人のみが、遺言書の閲覧、住所等の変更、保管の申請の撤回などの手続を行うことができます。そして、相続開始後、相続人等は、遺言書が保管されているかの確認、遺言書の内容の証明書(遺言書情報証明書)の取得、遺言書の閲覧ができます。

自筆証書遺言書保管制度は、全国 312 か所の遺言書保管所で利用できます。ウェブサイトや電話で事前の予約が必要ですが、遺言者自らが 1 人で作成できますので、遺言者が都合のよいときに書いて保管しておくと、相続開始後、相続人等が発見し、遺言内容を実行します。尚、このかわら版(第75 番)でもお伝えした通り、令和元(2019)年1 月13 日以降に作成した相続財産の目録については、パソコンで作成した目録や預金通帳のコピーなども認められることになりましたので、今後はより多くの自筆証書遺言書保管制度の利用が進むと考えます。

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相続対策としての家族信託の活用

「相続対策としての家族信託の活用」

 大正11年の制定時以来80年以上に渡って存在しているにも関わらず、一般の方にはあまりなじみのなかった「信託法」でしたが、近年「家族信託」を中心にその活用方法が注目されつつあります。

 「家族信託」とは、財産の所有者である「委託者」が健在の内に、その財産の「名義」のみを信頼のおける「受託者」に移転し、その権利については委託者が「受益者」として保持し続けるという特殊な契約形態になります。

生前贈与と異なる点は名義変更のみで実体的権利に変動がないため、契約締結時に不動産取得税や譲渡所得税が課税されない点です。では、権利が動かないのに何のために信託する必要があるのかと疑問を抱く方もいらっしゃると思います。

その理由としましては、契約内容を成年後見人制度や遺言に比べてかなり柔軟に設定できることにあります。

 一例になりますが受益者が認知症などで意思決定が難しくなった時、資産の管理や運用を受託者に一任する内容を組み込むことが可能になります。これは成年後見人制度に比べ、管理のみならず運用や売却も任せられるため資産の凍結を防ぐことができる点で優れています。また、受益者が死亡した後に受益権が継承される「第二受益者」、第二受益者が死亡した後の「第三受益者」を明記しておくことで、資産の継承先を数代先に対してまで委託者が定めることができます。

 継承先の法的効力が1代限りである遺言と違い、受託者が管理することで委託者の意思を最長30年に渡るまで反映させることが可能であり、今までになかった円滑な事業継承が可能になります。しかし、最長30年に渡って「受託者」に全てを一任することになりますので、受託者の選任が大変重要になってきます。そこで、「信託監督人」を設定することで受託者の信託業務を監督する機能を持たすこともできます。

 現時点ではまだ認知度が低く、裁判例も少ない「家族信託」ですが、今後の様々な場面での活用が期待できますので、検討してみてはいかがでしょうか。



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遺言制度が改正されました

「遺言制度が改正されました!」

 1 現行制度
 我が国の遺言制度は民法に規定されております。遺言には原則として 自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。このうち、自筆証書遺 言は、遺言者がその全文、日付、氏名を自署したうえ、これに印を押さなければ なりません。また、加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指定し、これを
変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなけ ればその効力が生じません。

 2 公正証書遺言と自筆証書遺言の件数は増え続けています。
 公正証書遺言は平成19年(暦年)74,160件に対し、平成29年(暦年)110,191件と この10年間で1.48倍に増加しております(日本公証人連合会HP)。
 一方、自筆証書遺言については作成数が不明ですが、家庭裁判所での遺言書の 検認事件数が公表されています(平成28年度司法統計)。
 遺言書の検認数は、平成19年度13,309件に対し、平成28年度17,205件と 公正証書遺言と同様に年々増加しております。

 3 遺言制度の改正が行われました。
 このたび、自筆証書遺言の方式緩和、自筆証書の遺言書の保管制度、遺言 執行者の権限の明確化、遺贈の担保責任に関する改正が行われました。このうち、 自筆証書遺言の方式緩和、自筆証書の遺言書の保管制度の改正点について説明します。
(1)自筆証書遺言の方式緩和【平成31年1月13日施行】
 改正法では、自筆証書に財産目録を添付する場合、財産目録は自書不要となり 財産目録はワープロ、コピーでもよいこととなりました。また、遺言者以外の人が 作成することもできます。ただし財産目録の各ページに署名押印が必要です。
※遺言書の本文のみが自書となり事務負担が軽減されました。
(2)自筆証書の遺言書の保管制度【令和2年7月10日施行】
 遺言書について、偽造・紛失などのトラブルを避けるため、遺言書を法務局で 保管する制度が新設されました。法務局で保管された遺言書については、閲覧や 返還を請求することもできます。相続人や受遺者は、遺言者の死亡後、法務局に 保管の有無や閲覧を請求することができます。また、「家庭裁判所における検認が不要」となりました。
※法務局が預ける遺言書の様式チェックをしてくれる。また、家庭裁判所の検認手続きが不要になり、相続手続きが迅速に行えます。
⇒ 来る施行日までに保管制度の細かな詳細が明らかになると思います。



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前経営者と後継者に考えて頂きたい3つの事

事業承継に当って、前経営者と後継者に考えて頂きたい3つの事

事業承継は経営者としての最後の仕事であり、事業家としての実績の集大成です。
そこで、事業承継に当たって、前経営者(創業者)と後継者に考えて頂きたい3つの事について述べてみたいと思います。

1.前経営者(創業者)に考えて頂きたい3つの事
① 事業承継を機に、人生観を見直す
自分の所有と考えていた価値物は社会からの預かりものと解釈し、それを次世代に引き渡すことをためらいなく容認できるような意識改革をするということです。事業承継において、経営者が次世代以降に真に残すべきものは、現物資産だけでなく、企業の歴史や社会的価値を含めた総合的なものであり、最終的に経営者が得るものは、企業の歴史や社会的価値等を後世まで引き継いでいく中継ぎの役割として、企業の発展の歴史を担ったという自尊心ですから。

② 後継者や社員から尊敬される存在になる
後継者や、それを支える社員とステークホルダーが経営者の人格や考え方に共感し、そこから生まれた強い信頼関係を構築できれば企業は盤石になります。後継者等と価値観を共有して信頼関係を強固なものにする努力は、相手からの行動を待つのではなく、前経営者の側から行動を起こすべきです。

③ 公正さ、正義と信義を大切にする
事業の継続性の為には、公開性を高め、冷静で、社会正義に適った正しい方法で進めることで周囲の信頼が高めていくことが重要です。事業承継では、重要なことは時間をかけて行い、拙速に進めることを避けなければなりません。

2.後継者に考えて頂きたい3つのこと
① 新たな企業価値を創造する
事業承継は、単なるトップの引継ぎという目的だけでなく、新たな企業価値創造の出発点であると捉えて、承継者は企業改革にも全力を注いでいかなくてはなりません。

② 企業の社会的責任の確立と、新しい企業風土および歴史を創造する
後継者は社会的責任を常に自覚し、トップとしての重責を果たさなければなりません。
そのために後継者は企業の歴史から多くの教訓を得ながら、企業の新たな風土と歴史を創造して積み重ねていく役割と責任があることを自覚して精進していく必要があります。

③ 社員に未来への夢を持たせる
日常的に社員に企業の明確な目標や将来展望を示して夢を語り、それを全員で共有することが必要です。

 

 

 

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生命保険の賢い利用の仕方は?

 

 

今や人生 80 年とも 90 年ともいわれる長寿社会となりました。 それを受け、生命保険各社は来春にも保険料を改めるので、利用法を再検討してみましょう。

(注)2017/7/10 付日本経済新聞  朝刊

1、課税関係を把握した上で加入目的を明確にすることが大切です。

(パターン①) 保険料負担者が被保険者で保険料負担者と保険金受取人が異なる場合は、相 続税が発生します。

(  パターン②  ) (  パターン③  ) も下記の表で示す通りです。

 

パターン① パターン② パターン③
被保険者
保険料負担者 子供
保険金受取人 子供 子供 子供
受取人にかかる税金 相続税 所得税等 贈与税

2、節税目的なら

⑴ 相続税の非課税枠を利用(パターン①)

非課税枠『500万円 × 法定相続人の数』までなら相続税はかかりません。

⑵ 相続税の非課税枠を超えたら、所得税も考えながら利用(パターン②)

『500万円 × 法定相続人の数』の非課税枠を超えていても、なお、生命保険には利 用価値があります。 保険料相当額の現金を贈与して、保険料負担者と保険金受取人を同じにすると

① 贈与した保険料の分だけ相続財産を減らすことができます。 ただし、贈与した金額が一暦年110万円を超えた場合は、贈与税が課税されます。

② 受取保険金は一時所得(所得税・復興特別所得税・住民税)として計算されます。

※ 1/2課税なので税負担はどんなに重くても、27.9725%です。

3、遺産分割がもめる可能性を回避したいなら

⑴ 生命保険契約なら、お金に残したい人の名前をつけて残せます。

⑵ 相続財産の大半が分けられない不動産や非上場株式の場合、それらを取得した特定の相 続人が、他の相続人に対する代償金を生命保険金によって準備することができます。 4、債務が多く相続を放棄したい場合 死亡保険金は相続財産には該当しませんので、被相続人に多額の借金がある場合、相続放 棄をすることにより債務を承継することなく保険金を受け取ることができます。 5、相続時の手続きは預貯金等より簡単!

 

 

 

 

 

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共通報告基準(CRS)導入による国際税務の動向

 

 

昨年、マスコミを賑わせたパナマ文書流出事件は記憶に新しいことと思います。

外国の金融機関等を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処するため、非居住者に係る金融口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際基準である「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」が公表され、日本を含む100の国と地域がその実施を約束。平成30年から金融口座情報が自動的に交換されることになります。

これは、日本の居住者が海外に持つ銀行等の口座残高や収入金額等の情報が、日本の税務当局に提供されるということです。

 

■CRSの対象となる金融口座:

(1)銀行等の金融機関の普通預金口座等の預金口座

(2)生命保険会社等の特定保険会社のキャッシュバリュー保険契約、年金保険契約

(3)証券会社等の保管期間及び信託等の投資事業体の証券口座等の保管口座及び信託受益権等の投資持分

 

■CRSの対象となる情報:

口座所有者の氏名、住所、納税者番号、口座残高、利子・配当等の年間受取総額等

 

平成27年度税制改正により、平成29年1月1日以後、新たに金融機関等に

口座開設等を行う者等は、金融機関等へ居住地国名等を記載した届出書の提出が必要となりました。その情報を基に、金融機関等は口座情報等を年1回、日本の税務当局に提出することが義務付けられました。

平成29年分以後の口座情報が対象となるため、平成28年分以前に開設した口座情報は提出されませんが、平成29年に海外における口座保有情報は提供されますので、税務調査などにより海外口座の過去の申告漏れが指摘されることが予想されます。

 

CRSには、タックスヘイブン(租税回避地)と呼ばれるケイマン諸島やバミューダ諸島などの地域も参加しています。また、個人だけでなく法人名義の口座も対象となります。

「租税回避地に財産を置いておけば日本では把握できない」という考え方は今は昔。

世界的な情報ネットワークにより、海外の財産も簡単に把握される時代が到来しました。

 

 

 

 

 

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預貯金も、遺産分割の対象に

預貯金も、遺産分割の対象に

 

昨年12月、最高裁は、相続財産の取り分を決める「遺産分割」の対象に

預貯金を含まないとしてきた判例を変更し、「預貯金は遺産分割の対象に含む」

という判断を示しました。

過去の判例では、預貯金は不動産や株式など他の財産とは関係なく、

法定相続割合に応じて相続人に振り分けるとしてきました。

今回、最高裁は、「遺産分割は相続人同士の実質的な公平を図るものであり、

出来る限り幅広い財産を対象とするのが望ましい」としたうえで、「預貯金は

遺産分割の対象とするのが相当」と結論づけました。

この変更によれば、例えば、「兄は土地、建物等の不動産、弟は預貯金全額」

といった分割や、特定の相続人に多額の生前贈与があった場合の不公平な遺産分

割の解消につながるとされています。

 

一方で、この変更により、死亡直後に相続人が葬儀費用等に必要な、まとまっ

た資金を被相続人の預金から引き出す場合や、相続人が当面の生活に必要な資金

を引き出すケースで影響が出てきます。これまでの判例に従えば、遺産分割

をしなくても自分の法定相続分は引き出し可能だったからです。

このような場合、相続人からの引き出し要請に応じるかどうかは金融機関や

支店によって分かれるところでありますが、ある相続人の要請に応じて預金を

引き出したことで、他の相続人から訴えられることも想定して、基本的には

「相続人全員の合意がない限り引き出しには応じない」方向のようです。

これまでも、相続の手続き上、被相続人の預貯金を引き出す場合、まずは、

相続人間で預貯金だけの遺産分割協議書を作成して、その分割書通りの預貯金の

引き出し、移転が行われる場合が多いですが、預貯金のみの分割協議がまとまら

ない場合には、預貯金を引き出せない状態が長く続く可能性もあります。

その解決方法として、家庭裁判所の審判より簡易な手続きで金融機関へ

仮払いを申し立てる「保全処分」が検討されています。

 

いずれにしても、緊急に預貯金の引き出しが必要な場合には、まず、

預貯金だけでもスムーズに分割協議がなされることが重要になってまいります。

 

 

 

 

 

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再婚したご夫婦の相続について

―子どものためと思った財産が遠くへ―

最近では離婚も珍しくありませんので、相続のご相談に再婚されたご夫婦やその相続人の方々も来られます。
ご夫婦は子供さんに恵まれず、ご主人が亡くなられた直後に奥様が亡くなられました。先妻との間には子供二人がいましたが、後妻は先妻の子供たちとは養子縁組していませんでした。
ご主人の相続時に奥様がご主人の財産の2分の1を相続されましたが、直後に奥様が亡くなられたためご主人から相続した財産と奥様の財産の合計を後妻の相続人が相続することになりました。
奥様のご両親は既に亡くなっておられるので、奥様の兄弟姉妹と先に亡くなられた兄弟姉妹の代襲相続人である甥、姪が相続人になります。このケースでは、後妻の相続人は生存している後妻の姉妹2名と甥、姪6名の計8名でした。
そのためご主人の財産の多くがご主人とはあまり関係の無い奥様の甥、姪たちに相続されることになります。
また、奥様の生命保険金の死亡時受取人は先に亡くなったご主人のままになっていました。
保険金の受取人は次の様になりました。

① A社保険金 夫の息子2名

② B社保険金 夫の息子2名が2分の1と後妻の相続人の姉妹、甥、姪全員で残り2分の1

③ C社保険金 生存している後妻の姉妹

④ C社の特約還付金と生存給付金 後妻の相続人である兄弟姉妹と甥、姪

 

受取人が亡くなった後変更せずにそのままになっていることがよくありますが、保険会社の約款により受取人が全て異なってくることになりました。

亡くなった後の遺族の生活等を考えて加入する保険金が、本人の思いとは全く違う受取人により受け取られることになりかねません。
約款をよく確認して受取人の変更等が必要です。

 

法律的に有効な遺言

法律的に有効な遺言

―こんな遺言には気をつけて―

自分の死後、家族が揉めないように、遺産の相続を自分で決めたいと遺言を残したいと思っている人は少なくないと思います。

遺言というと、まず「自筆証書遺言」を思いつくでしょうが、以下のような問題が起こりやすいので、気をつけて下さい。

 

1.PC等活字で書かれた遺言書

財産を全て書き出し、それを誰に相続させるか、PCで明確な活字で書き連ねた遺言は残念ながら無効です。

遺言書は、公証人などを介さない場合、全文自筆で書く「自筆証書遺言」でなければならないのです。

日付と氏名も手書し、押印が必要です。

 

2.本人の遺言をビデオで撮影して記録

わかりやすくと遺言を話している自分を撮影しておく遺言も無効です。

危篤の場合や伝染病隔離者等でない限り、公証人を介さない遺言書はやはり「自筆証書遺言」しか認められないからです。

 

3.相続させたい不動産や預金などの記載が不明確

「自宅は同居している長女に、預貯金は次女に」も無効か、相続人の間では理解できるかもしれませんが、実際に名義書換する場合に第三者(法務局や銀行)では特定できないため手続が煩雑になります。

 

4.遺産は子供Aに「任せる」などの被相続人の意思が不明確 「私の死後、財産は長男に任せる」などの記載では、長男に相続させたいのか、相続に関する協議のイニシアティブを任せたいのか分からず、結局相続人全員で遺産分割協議をして遺産を分割することになります。

 

5.相続人に対して「与える」や「やる」という表現をしている 「自宅は長男に与え、預貯金は次男にやる」などの記載も、遺贈(遺言による贈与)と解釈される場合もあり、その場合は遺言執行者(遺言を被相続人の代理人として執行する)を選任するか、相続人全員から同意を得て、名義書換をすることになります。

 

もし遺言を残したい、遺言書を作成したいと思うのであれば、まずは一度専門家に相談することをお勧めします。