昨年、関西に本拠地を有する某歌劇団が創立100周年を迎え、マスコミで取り上げられました。
一口に100年と言っても、エンターテイメント集団が100年間続くことには秘訣があります。
企業の経営者も、少し異なる観点で歌劇団の長寿の秘訣を知ると、自社に応用出来るかもしれません。
歌劇団に注目すべき制度として、構成する各組にトップスター制度というものがあります。
トップスターとは組を代表する顔であり、全ての作品はそのトップスターの魅力を最大限引き出すために制作されます。
即ち、
①劇団の組織は、年功序列を基礎とした上下関係の組織であり、基本的には年次が舞台上の役付等の全ての待遇を決めます。
②年次とは別に、スターと呼ばれる将来の幹部候補生が、持ち前の華やかさやファンからの人気等を基準に抜擢されます。
③スターは三番手スター、二番手スターと階段を昇りつつ、トップスターを支えて盛り上げる役割を担います。
④トップスターは、組の顔として、就任から退任までその組を統率し、ファンを魅了するとともに、組運営に対する責任も負います。
⑤トップが退任すると、次期トップたる二番手スターに引き継がれ、新たなトップは、組を自分の独自色で統率していきます。
こうした組織の継続においては、ファンという顧客層の維持と、円滑な人事関係の維持とが何よりも大切となります。
絶えず二番手スターを準備して置くことによって、トップと二番手の属人的関係を舞台に引出し、トップスターのファン層を二番手のファン層に取り込むことを可能にさせています。
さらに、二番手は現トップの持つスター性を現トップの脇で支えることで、次期トップとしての心構えや組引率のノウハウ、ファンへのアピールの仕方等を学び、円滑な組経営の仕方を引き継いでいくのです。
歌劇団が続いてきた秘訣は、会社の社長の座を次期社長に引き継がせる秘訣と重なるようです。
対外顧客関係と社内人事関係を上手に引き継ぐことができれば、歌劇団同様100年続く企業となることが出来そうです。