Archive for 2015年3月17日

農地を相続した

 

━相続税の納税猶予の特例━

 

都心に住んでいると関係なさそうですが、農地の相続って意外とあるんです。

 

お母様が数十年前に田を相続し、所有している。亡くなる直前には、お母様は、東京でご相談者と同居しており、その際に、親戚に田を貸して、年1回わずかな地代を受け取っていた。

この度、お母様がお亡くなりになり、この土地をご相談者が相続することになったということです。

この方から、節税できる方法がないかを相談されました。

 

今回は、『農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例』が適用できるかを検討してみました。

この制度は、支払う相続税の税額のうち農地に関する税額分の支払いが猶予されるというものです。

 

本来は、先祖代々農業を営んでいて、相続人が農業を引き継ぐ時に、相続税が負担になって、農地を売らざるを得なくなり、農業を続けることが難しい。そのようなことを防ぐためにある制度です。

果たして、ご相談者の様に、東京に住んでいて、自分は農業をやる気はないが、人に貸して農地を持ち続けるというような場合にも、この制度は適用できるのでしょうか?

 

農地を管理するのは、その農地の所在する市の農業委員会です。

さっそくこの農地がこの特例を受けることができるのかを問い合わせてみました。

 

回答としては、ちょっと手続きが面倒であるが、適用を受けることは出来るとのことでした。

まず、土地の耕作を依頼している方と土地の耕作利用権の契約を結んだ上で、農業経営を引き続き行う意思があることを『相続税の納税猶予に関する適格者証明書』証明願いに記載して、市の農業委員会に提出し、証明書を発行してもらいます。

それを相続税の申告書に添付して提出します。

 

しかし、本当にこの制度を使う場合にはよく将来のことを考える必要があります。

耕作を依頼している方が亡くなったなどの事情があり、農地を維持できなくなった場合には、納税の猶予を受けた税金と支払猶予を受けた期間の利子税をまとめて支払わなければならなくなります。