相続財産管理人・一時代表選任届出について
特殊な事例かもしれませんが、税の滞納者(個人)の財産を差し押さえたが滞納者が死亡し相続人が存在しない場合や、滞納会社の財産を差し押さえたが代表者の死亡により代表者が存在しない場合、公売手続を進めようにも公売通知書を送達することが出来ず、公売を行うことが出来ないというような場合があります。税務署側の対応としてはこのようなケースでは、公売手続を進めるために、裁判所に対して、相続財産管理人又は一時代表者の選任を求めること(民法952条、会社法351条等)が出来ることとされています。
ここでいう相続財産管理人の調査のポイントとされているのは、
1.被相続人の最後の住所地の確認:
被相続人の最後の住所地によって相続財産管理人選任申立の管轄の家庭裁判所が決まるため、住民票を聴取し確認することとなっています。
2.相続人が不存在であることの確認:
相続人全員が相続放棄をして、相続人が不在となった場合の家庭裁判所に提出する証拠書類としては、
① 続人関係図、
② 被相続人及び相続人の戸籍、原戸籍、除籍謄本、
③ 被相続人及び相続人の住民票、相続人の戸籍附票、
④ 法定相続人の相続放棄申述の受理についての回答書
が必要です。ここで、戸籍は、個人の出生から死亡あるいは現在までの流れが確認出来るものでなければなりません。
3.財産目録の作成:
相続財産管理人の選任申立には、被相続人の財産目録を作成し、その申立書に添付する必要があります。その作成にあたっては、
資産では、①所有不動産、②預貯金、
負債では③公租公課、④その他銀行借入
等の状況を把握すると共に、把握するために入手した全部事項証明書の原本や金融機関等への照会文書の回答書写し等も添付資料として家庭裁判所に提出します。納税者側が相続放棄をする場合、相続人となったことを知ってから3ヵ月以内に家庭裁判所に申請をすることとなります。ただ、限定承認をする場合では相続財産の調査に時間が掛かると想定されることもあり、このようなケースでは延長申請も可能で更に6ヵ月延長できます。