Archive for 2019年10月16日

相続対策としての家族信託の活用

「相続対策としての家族信託の活用」

 大正11年の制定時以来80年以上に渡って存在しているにも関わらず、一般の方にはあまりなじみのなかった「信託法」でしたが、近年「家族信託」を中心にその活用方法が注目されつつあります。

 「家族信託」とは、財産の所有者である「委託者」が健在の内に、その財産の「名義」のみを信頼のおける「受託者」に移転し、その権利については委託者が「受益者」として保持し続けるという特殊な契約形態になります。

生前贈与と異なる点は名義変更のみで実体的権利に変動がないため、契約締結時に不動産取得税や譲渡所得税が課税されない点です。では、権利が動かないのに何のために信託する必要があるのかと疑問を抱く方もいらっしゃると思います。

その理由としましては、契約内容を成年後見人制度や遺言に比べてかなり柔軟に設定できることにあります。

 一例になりますが受益者が認知症などで意思決定が難しくなった時、資産の管理や運用を受託者に一任する内容を組み込むことが可能になります。これは成年後見人制度に比べ、管理のみならず運用や売却も任せられるため資産の凍結を防ぐことができる点で優れています。また、受益者が死亡した後に受益権が継承される「第二受益者」、第二受益者が死亡した後の「第三受益者」を明記しておくことで、資産の継承先を数代先に対してまで委託者が定めることができます。

 継承先の法的効力が1代限りである遺言と違い、受託者が管理することで委託者の意思を最長30年に渡るまで反映させることが可能であり、今までになかった円滑な事業継承が可能になります。しかし、最長30年に渡って「受託者」に全てを一任することになりますので、受託者の選任が大変重要になってきます。そこで、「信託監督人」を設定することで受託者の信託業務を監督する機能を持たすこともできます。

 現時点ではまだ認知度が低く、裁判例も少ない「家族信託」ですが、今後の様々な場面での活用が期待できますので、検討してみてはいかがでしょうか。



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遺言制度が改正されました

「遺言制度が改正されました!」

 1 現行制度
 我が国の遺言制度は民法に規定されております。遺言には原則として 自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。このうち、自筆証書遺 言は、遺言者がその全文、日付、氏名を自署したうえ、これに印を押さなければ なりません。また、加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指定し、これを
変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなけ ればその効力が生じません。

 2 公正証書遺言と自筆証書遺言の件数は増え続けています。
 公正証書遺言は平成19年(暦年)74,160件に対し、平成29年(暦年)110,191件と この10年間で1.48倍に増加しております(日本公証人連合会HP)。
 一方、自筆証書遺言については作成数が不明ですが、家庭裁判所での遺言書の 検認事件数が公表されています(平成28年度司法統計)。
 遺言書の検認数は、平成19年度13,309件に対し、平成28年度17,205件と 公正証書遺言と同様に年々増加しております。

 3 遺言制度の改正が行われました。
 このたび、自筆証書遺言の方式緩和、自筆証書の遺言書の保管制度、遺言 執行者の権限の明確化、遺贈の担保責任に関する改正が行われました。このうち、 自筆証書遺言の方式緩和、自筆証書の遺言書の保管制度の改正点について説明します。
(1)自筆証書遺言の方式緩和【平成31年1月13日施行】
 改正法では、自筆証書に財産目録を添付する場合、財産目録は自書不要となり 財産目録はワープロ、コピーでもよいこととなりました。また、遺言者以外の人が 作成することもできます。ただし財産目録の各ページに署名押印が必要です。
※遺言書の本文のみが自書となり事務負担が軽減されました。
(2)自筆証書の遺言書の保管制度【令和2年7月10日施行】
 遺言書について、偽造・紛失などのトラブルを避けるため、遺言書を法務局で 保管する制度が新設されました。法務局で保管された遺言書については、閲覧や 返還を請求することもできます。相続人や受遺者は、遺言者の死亡後、法務局に 保管の有無や閲覧を請求することができます。また、「家庭裁判所における検認が不要」となりました。
※法務局が預ける遺言書の様式チェックをしてくれる。また、家庭裁判所の検認手続きが不要になり、相続手続きが迅速に行えます。
⇒ 来る施行日までに保管制度の細かな詳細が明らかになると思います。



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