最近の相続税の税務調査状況

 

 

 令和元年12月に国税庁より平成30年度における相続税の調査状況が公表されました。

 公表資料によりますと平成30年におこなわれた相続税の実地調査は平成28年に発生した相続を対象としているようです。つまり税務調査は相続が発生した2年後に来ますので2年を過ぎれば調査が来る可能性はぐっと減ると考えて良いようです。

 実地調査の件数は12千件、このうち申告漏れ等は10千件と85%の高い確率で誤りが指摘されています。申告漏れ等の1件当たりの金額は28百円となっています。申告漏れの内容は現預金等が36%、土地が12%、有価証券が11%です。仮装・隠ぺい等して故意に相続税を逃れたとして重いペナルティである重加算税が課されたのは全体の17%ですので、それ以外には相続財産を見つけられずに漏れていたりする事案が多いのではないかと推測されます。

 人生100年時代ともいわれるように平均寿命が女性87歳、男性81歳と過去最高を更新していく中で物忘れ等の症状も増えています。被相続人になる方の財産をしっかりと管理しておかないと、相続人が遺産の全体を把握するのは相当に大変な労力であるとともに調査状況をみても把握しきれない実態が垣間みられます。早いうちに財産の状況をご家族で共有することが肝要です。

 またグローバル化がすすむ中で資産運用も国際化されるのに対応して平成30年9月からCRS情報交換という制度がスタートしています。これは各国の税務当局が協力して自国の非居住者の金融口座情報を自動的に交換する制度です。今までは外国にある預金残高等の情報を把握するためには国税は個別に照会をして回答を得る方法でしたが今では自動的に金融口座情報が手に入るようになっています。

 税務当局の調査能力を利用して把握しきれない財産を見つけてくるのであれば税務調査も悪いものでもないとの考え方もできる面白い状況でもあります。

 

 

 

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