遺産分割で不動産の共有は避けるべきか?

共有はのちのち相続人の間で争いのもとになる

相続財産は遺産分割することによって、初めて相続人の固有財産になりますが、遺産分割協議で相続人間の「共有」とした場合は注意が必要です。

平成26年1月10日号でも紹介されていますが、「共有」が相続人間のトラブル原因となり、「争い」となるケースが多いからです。

 

★遺産分割後、相続人間で共有持分を売買するケース

 

両親の残した自宅を兄Aと弟Bが相続し、現在はA一家が住んでいます。

相続時の持分割合はAが3/4、Bが1/4ですが、数年後、自宅の老朽化に伴い建替えを検討することにしました。

しかし、土地がBとの共有のままでは、抵当権の設定にBの承諾が必要となることが判明し、結局、Aは不本意ながらBの土地持分を1,000万円で買い取ることになりました。

 

その結果、Aには土地購入代金1,000万円、不動産取得税、登録免許税など、一方、Bには土地売却に伴う譲渡所得税が発生しました。

 

遺産分割後に相続財産を相続人間で売買することは感情的にもしっくりいかず、まして、兄弟間の売買ですから「もっと安くてもいい」という気持ちになります。

しかし、兄弟間の売買であっても原則として相続税評価額で売買しないと贈与税がかかる恐れがあります。

 

このように相続財産を相続人間で共有すると、各人は勝手に財産を処分したり利用したりできないので、不便な状態となる上、一つ間違うとトラブルに発展します。

やはり土地の共有という形態は、なるべく避けた方が賢明といえるでしょう。

 

なお、相続される不動産が土地収用の対象地として将来、売却が予定されているケースでは、相続人間で合意のもと共有により相続し、各相続人が収用による特別控除(各人が譲渡益5,000万円まで無税となります)を適用することが賢明と言えます。

 

★トラブルを避けるために有効な遺産分割の方法として「代償分割」

 

代償分割とは、分割が困難な資産を特定の者が相続し、他の者に対価を支払う方法です。

兄弟2人が相続人で、相続した土地が小さな一筆だったとします。

仮に兄がその小さな土地を相続するとし、弟には土地の代わりに相続分に相当する「金銭」を支払うといったケースです。

この場合に支払われたお金は贈与ではなく遺産分割と見なされます。

このような遺産分割をすることで、相続財産は各相続人の財産として認められることになります。

 

なお、「金銭以外の財産」を代償財産とした場合には、譲渡所得課税が発生する恐れがあります。

 

遺産分割においては税金の専門家を交えて相談するのが良いでしょう。

 

【長公認会計士事務所の相続・事業承継のページ】

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