遺留分侵害への対応で思わぬ課税が

■ 「遺留分侵害への対応で思わぬ課税が」 ■
~留意したい、遺留分制度改正に伴う税コスト~

 亡くなった親が、全財産を長男へ相続させる旨の遺言を残し、もう一人の 相続人である長女の遺留分を侵害しているケースで考えてみましょう。

 民法(相続法)が改正され、遺留分侵害額請求権の金銭債権化が令和元年7月 1日から施行されています。遺留分権利者(長女)は、遺留分侵害額に相当する 金銭の請求ができるようになりましたが、これに対応する受遺者(長男)及び 長女にとっては思わぬ課税が生じる可能性があります。

 長男は必ずしも金銭で支払いができるとも限らず、相続した不動産を長女に 渡して対応することも想定されます。従前はこの取引を譲渡とは考えませんでし たが、改正後は、金銭債権化された遺留分侵害額請求権を消滅させるための「代 物弁済」と認識をしますので、消滅した金銭債権額相当で不動産を譲渡したもの として、長男に譲渡所得税の問題が生じることになりました。代物弁済は、消費 税法上も資産の譲渡等に該当しますので、消費税の負担が生じる可能性にも留意が必要です。

 また、同様に長女にとっても、金銭債権額相当で不動産を取得したものとして、 将来譲渡したときの取得費を認識します。代物弁済で取得したと考えるため、 譲渡までの保有期間も被相続人の取得日ではなく、あくまで代物弁済日を起点と しますので、長女の譲渡所得の計算上、保有期間の長短区分にも影響があります。
さらに、長女が不動産を取得する際のコストは、従前は登録免許税0.4%のみで 済んでいましたが、代物弁済とされたことにより登録免許税2.0%に加え、不動 産取得税1.5%~4.0%が課されることになりました。

 長女から遺留分の請求がなされる可能性が高く、長男は請求に対して金銭での 支払いが困難と見込まれる場合などで、長女に承継させてもよい含み益が大きい 資産があるときは、その資産を当初から長女に相続させる旨の記載にするなど、 遺言作成時には、遺留分侵害額請求の対応による税負担も意識しておきたいところです。




=====================
※相続のご相談なら長公認会計士事務所 まで

HPアドレス   http://www.chou-acctg.com
電   話  092-731-4640
=====================



相続税の申告と税務調査

「相続税の申告と税務調査」

[相続の発生件数と相続税申告の数]

 平成29年中に亡くなられた方は約134万人で、このうち相続税の課税対象となった相続は約11万2千件で、課税割合は8.3%となっております。

[相続税課税対象金額]

 被相続人1人当たりでは1億3,952万円となっています。

[相続税の税額]

 被相続人1人当たりでは1,807万円となっています。

[相続財産の中身]

 相続財産の金額の構成比は、土地36.55%、現金・預貯金等31.7%、有価証券15.2%の順となっています。

[税務調査]

 平成29事務年度(平成29年7月~平成30年6月)の相続税税務調査は、平成27年に発生した相続を中心に12,576件実施し、このうち申告漏れ等があった件数は10,521件で、その割合は83.7%です。

 大体10人に一人が税務調査の対象になっていると思われます。

  一件あたりの申告漏れ課税価格は2,801万円で、一件あたりの追徴税額(加算税を含む)は623万円となっています。

 申告漏れ相続財産の金額の内訳は、現金・預貯金等が34%と最も多く、続いて有価証券が15%、土地が12%の順となっています。

 

 

 

 

 



=====================
※相続のご相談なら長公認会計士事務所 まで

HPアドレス   http://www.chou-acctg.com
電   話  092-731-4640
=====================



配偶者居住権(新設)について

 

 

 

「配偶者居住権(新設)について」

~2020年4月より、相続を取り巻く環境が大きく変わります~

民法が改正され、新しく配偶者居住権という権利が認められるようになります。

この配偶者居住権には大切なポイントが3つあります。

以下、そのポイントを簡単に説明していきます。

まず1つ目、配偶者居住権とは「配偶者が自宅の所有権を相続しなかったとしても、自宅に住み続けるのは認めてあげましょう」という新しい権利であるということです。

つまり、所有権を、「使う(住む)権利」と「その他の権利」に分離をして、別々の人が相続することを認める仕組みです。配偶者には「使う(住む)権利」を、その他の相続人には「その他の権利」を相続させることが可能です。この「使う(住む)権利」のことを、配偶者居住権といい、「その他の権利」のことを、配偶者居住権が設定された所有権といいます。

2つ目のポイントは、配偶者居住権は、相続が発生した時点で、その自宅に住んでいた配偶者にだけ認められ、かつ、配偶者居住権の登記が必要になるということです。

3つ目のポイントは、配偶者居住権は売却できないこと、そして、配偶者の死亡によって消滅するため、相続させることはできないという点です。配偶者居住権の消滅後は、その他の権利を相続していた人が、その不動産の権利を丸ごと所有することになり、通常の所有権に戻ります。その後の所有権を持っている人は住むのも、売るのも、取り壊して建て替えるのも、自由というこ とになります。

以上ですが、新しくできたものなので、注目して行くべき制度だと思います。

 

 

 

 

 



=====================
※相続のご相談なら長公認会計士事務所 まで

HPアドレス   http://www.chou-acctg.com
電   話  092-731-4640
=====================



相続対策としての家族信託の活用

「相続対策としての家族信託の活用」

 大正11年の制定時以来80年以上に渡って存在しているにも関わらず、一般の方にはあまりなじみのなかった「信託法」でしたが、近年「家族信託」を中心にその活用方法が注目されつつあります。

 「家族信託」とは、財産の所有者である「委託者」が健在の内に、その財産の「名義」のみを信頼のおける「受託者」に移転し、その権利については委託者が「受益者」として保持し続けるという特殊な契約形態になります。

生前贈与と異なる点は名義変更のみで実体的権利に変動がないため、契約締結時に不動産取得税や譲渡所得税が課税されない点です。では、権利が動かないのに何のために信託する必要があるのかと疑問を抱く方もいらっしゃると思います。

その理由としましては、契約内容を成年後見人制度や遺言に比べてかなり柔軟に設定できることにあります。

 一例になりますが受益者が認知症などで意思決定が難しくなった時、資産の管理や運用を受託者に一任する内容を組み込むことが可能になります。これは成年後見人制度に比べ、管理のみならず運用や売却も任せられるため資産の凍結を防ぐことができる点で優れています。また、受益者が死亡した後に受益権が継承される「第二受益者」、第二受益者が死亡した後の「第三受益者」を明記しておくことで、資産の継承先を数代先に対してまで委託者が定めることができます。

 継承先の法的効力が1代限りである遺言と違い、受託者が管理することで委託者の意思を最長30年に渡るまで反映させることが可能であり、今までになかった円滑な事業継承が可能になります。しかし、最長30年に渡って「受託者」に全てを一任することになりますので、受託者の選任が大変重要になってきます。そこで、「信託監督人」を設定することで受託者の信託業務を監督する機能を持たすこともできます。

 現時点ではまだ認知度が低く、裁判例も少ない「家族信託」ですが、今後の様々な場面での活用が期待できますので、検討してみてはいかがでしょうか。



=====================
※相続のご相談なら長公認会計士事務所 まで

HPアドレス   http://www.chou-acctg.com
電   話  092-731-4640
=====================



遺言制度が改正されました

「遺言制度が改正されました!」

 1 現行制度
 我が国の遺言制度は民法に規定されております。遺言には原則として 自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。このうち、自筆証書遺 言は、遺言者がその全文、日付、氏名を自署したうえ、これに印を押さなければ なりません。また、加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指定し、これを
変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなけ ればその効力が生じません。

 2 公正証書遺言と自筆証書遺言の件数は増え続けています。
 公正証書遺言は平成19年(暦年)74,160件に対し、平成29年(暦年)110,191件と この10年間で1.48倍に増加しております(日本公証人連合会HP)。
 一方、自筆証書遺言については作成数が不明ですが、家庭裁判所での遺言書の 検認事件数が公表されています(平成28年度司法統計)。
 遺言書の検認数は、平成19年度13,309件に対し、平成28年度17,205件と 公正証書遺言と同様に年々増加しております。

 3 遺言制度の改正が行われました。
 このたび、自筆証書遺言の方式緩和、自筆証書の遺言書の保管制度、遺言 執行者の権限の明確化、遺贈の担保責任に関する改正が行われました。このうち、 自筆証書遺言の方式緩和、自筆証書の遺言書の保管制度の改正点について説明します。
(1)自筆証書遺言の方式緩和【平成31年1月13日施行】
 改正法では、自筆証書に財産目録を添付する場合、財産目録は自書不要となり 財産目録はワープロ、コピーでもよいこととなりました。また、遺言者以外の人が 作成することもできます。ただし財産目録の各ページに署名押印が必要です。
※遺言書の本文のみが自書となり事務負担が軽減されました。
(2)自筆証書の遺言書の保管制度【令和2年7月10日施行】
 遺言書について、偽造・紛失などのトラブルを避けるため、遺言書を法務局で 保管する制度が新設されました。法務局で保管された遺言書については、閲覧や 返還を請求することもできます。相続人や受遺者は、遺言者の死亡後、法務局に 保管の有無や閲覧を請求することができます。また、「家庭裁判所における検認が不要」となりました。
※法務局が預ける遺言書の様式チェックをしてくれる。また、家庭裁判所の検認手続きが不要になり、相続手続きが迅速に行えます。
⇒ 来る施行日までに保管制度の細かな詳細が明らかになると思います。



=====================
※相続のご相談なら長公認会計士事務所 まで

HPアドレス   http://www.chou-acctg.com
電   話  092-731-4640
=====================



保険契約の異動に関する調書の創設

 

 

「保険契約の異動に関する調書の創設」

 「生命保険契約書の一時金の支払調書」は、一定金額以上の保険金等の支払いがあった場合に生命保険金等の支払者が提出しなければならないとされています。

しかし、保険事故が発生していない生命保険契約等については、保険料を被相続人が支払っていても支払調書は提出されません。

 そのため、相続税の課税に当たって「生命保険契約に関する権利」としての財産の課税漏れが発生していたりするようです。

悪質な納税者の中には、生前中に生命保険契約等の契約者を被相続人から相続人等に変更するなどして、相続財産から除外するなどの仮装隠ぺい行為も見受けられる状況にあります。

 そこで、国税庁が長年要望していた「保険契約者等の異動に関する調書」の創設と、「生命保険契約等の一時金の支払調書」及び「生命保険金・共済金受取人別支払調書」の見直しが、平成27年度の税制改正において行われることとなりました。

 改正の概要は以下のとおりです。

 保険会社等は、平成30年1月1日以後に、生命保険契約等について死亡による契約者変更があった場合には、死亡による契約者変更情報及び解約返戻金相当額を記載した「保険契約者等の異動に関する調書」を、税務署長に提出しなければならないこととしました。

 また、「生命保険契約等の一時金の支払調書」等について、平成30年1月1日以後に提出する調書から、現行の調書に、保険金等受取人と保険契約者等の氏名に加え個人番号又は法人番号を、「被保険者等」の下欄に「直前の保険契約者等」の氏名又は名称を加えることとしました。

また、「保険等の種類」の下欄に「契約者変更の回数」を記載する欄も設けます。

 さらに、「既払込保険料等」欄の内書を設けて、当該契約に係る現契約者が払い込んだ保険料等の額を記載することとしました。

 

 

 

 



=====================
※相続のご相談なら長公認会計士事務所 まで

HPアドレス   http://www.chou-acctg.com
電   話  092-731-4640
=====================



持分なし医療法人の小規模宅地等の特例

「持分なし医療法人の小規模宅地等の特例」

 1.特例同族会社事業用宅地等に該当しない

  例えば持分なし医療法人である基金拠出型医療法人の院長(基金拠出者でもある)がその医療法人に医療施設用建物の敷地として宅地を貸し付けている場合、その院長が死亡した際、その貸し付けていた土地については小規模宅地等の特例の「特定同族会社事業用宅地等」に該当しません。

 2.特定同族の要件を満たさないため

  理由としては、持分の定めのない医療法人の場合は各出資者に固有の持分がないことから特定同族会社の要件である「被相続人等が出資総額の50%超を有する」を満たすことができないためです。

  一方その土地については「貸付事業用宅地等」には該当するため全く減額がされないということはありません。ただし、院長が「特定居住用宅地等」に該当する自宅を持つ場合は、「特定同族会社事業用宅地等」であれば「特定居住用宅地等」と併用できたものが、「貸付事業用宅地等」の場合は「特定居住用宅地等」との面積制限に達するまでの選択適用となりますので、その適用を大きく制限されることとなります。

 3.法人成り、持分なし医療法人への移行の際は注意

  法人成りを検討する際には、この特例の制限がデメリットとなる法人の運営形態(もともと賃貸物件であればデメリットとは認識されない)かどうかを踏まえ検討する必要がありますし、移行の場合には、もともと持分の評価が大幅に軽減されることを目指していますので、特例の制限が相続税額にどの程度の影響を及ぼすかを把握しておく必要があります。



=====================
※相続のご相談なら長公認会計士事務所 まで

HPアドレス   http://www.chou-acctg.com
電   話  092-731-4640
=====================



特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除

特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除

 バブル時代、大昭和製紙社の齊藤了英氏が、ゴッホの「医師ガシェの肖像」やルノアールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」を高額な値段で落札し、「死んだら棺桶に入れてもらうつもりだ」などと発言されたことがありました。当時「公開してくれないものかな」、その後も「いつか見たいものだ」と考えておりました。

 数年前、オルセー美術館で「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」を間近で見ることができた時は「ここにいたのか」と感動しました。

 文化的価値の高い美術品を所有する方は、人類の預りものとはいえ、所有するために高額の対価を払い、一般の人々に鑑賞させてくれるのですから、感謝しなければなりません。

 世界的価値のある美術品にも金銭と同様の相続税を課税し納税を求めると、価値ある美術品が、行方不明になったり、海外流出してしまったりと、次世代に引き継がれないことも懸念されます。

1.制度の概要

 預託先美術館の設置者と特定美術品の寄託契約を締結し、認定保存活用計画に基づきその特定美術品をその寄託先美術館の設置者に寄託していた者(以下「相続人」といいます。)から相続又遺贈によりそのと特定美術品を取得した一定の相続人(以下、「寄託相続人」といいます。)が、その特定美術品の寄託先美術館の設置者への寄託を継続する場合には、その寄託相続人が納付すべき相続税のうち、その特定美術品に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予され、寄託相続人の死亡等により、納税が猶予されている相続税の納税が免除されます。

2.適用開始時期

 この特例は、平成31年4月1日以降に相続又は遺贈により取得する特定美術品に係る相続税について適用されます。

3.特定美術品

 この制度の対象となる「特定美術品」とは、認定保存活用啓確認に記載された次に掲げるものをいいます。

・重要文化財として指定された絵画、彫刻、工芸品その他の有形の文化的所産である動産

・登録有形文化財(建物を除きます。)のうち世界文化の見地から歴史上、芸術上又は学術上特に優れた価値を有するもの

4.相続開始前にすべきこと

 相続開始前に、被相続人が、特定美術品について、「寄託先美術館の設置者と寄託契約を締結し寄託していること」及び「文化財保護法の規

定に基づき保存活用計画に係る文化庁長官の認定を受けていること」が必要になります。

 相続開始後から相続税の申告期限まで、またその後の納税猶予期間中も重要な様々な手続きがあります。

5.納税猶予の期限到来

 次の場合には、猶予期限の到来となり猶予されている相続税と利子税を納付しなければなりません。

・譲渡(寄託先美術館の設置者へ贈与した場合を除きます。)した場合

・滅失(一定の災害による滅失を除きます。)、寄託先美術館において亡失もしくは盗み取られた場合

・寄託契約期間の終了した場合

・認定保存活用計画の認定が取り消された場合

・認定保存活用計画の計画期間満了後4か月を経過する日において新たな認定を受けていない場合

・重要文化財の指定が解除又は登録有形文化財の登録が抹消(一定の災害による滅失に基因する場合を除きます。)された場合

・寄託先美術館について、登録の取消等がされた場合

6.納税の免除

 次の場合には、免除届出書及び一定の書類を提出することにより、納税猶予されている相続税の納付が免除されます。

・寄託相続人の死亡した場合

・寄託先美術館の設置者に贈与した場合

・一定の災害により滅失した場合

 オルセー美術館にある「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」は、齊藤氏が購入したものとは別のものであったようです。(大小2枚がある。)齊藤氏が購入したものは、現在は海外のコレクターが所有されているようで、相続を要因としたわけではないのですが、日本には無いようですし、見ることはできそうにありません。

 



=====================
※相続のご相談なら長公認会計士事務所 まで

HPアドレス   http://www.chou-acctg.com
電   話  092-731-4640
=====================



相続放棄について注意するべき事項

「相続放棄について注意するべき事項」

 相続というと、被相続人から財産を貰えるというプラスのイメージが大きいかも知れませんが、実際には先代社長が大きな借金(又は借金の保証人の地位)を抱えたまま死亡してしまったという話も多くあります。

事業内容が良好であれば、相続することに大きな問題はないのかも知れませんが、会社の業績が芳しくない場合には、相続放棄を選択すべきケースもあると思います。

この場合に、相続の放棄を行うのは、「被相続人の死亡により相続人となったことを知った後、3か月以内」と定められています。

ここまでは、ご存じの方が多いかと思います。

 次に、注意して欲しいのが、相続の放棄を行うと、次順位の方へ相続権が移るという点です。

例えば、社長(夫)が死亡し、妻と子供、その他に社長に兄弟がいた場合(社長の両親は既に死亡)この場合には、先ずは妻と子供が第1順位として相続放棄を行います。

なお、相続放棄では代襲はありません。

つまり、上記のケースで子供が相続放棄したから孫に相続権が代襲されるということはないという意味です。

ゆえに、上記の相続放棄が完了した後に兄弟が相続人となり、相続放棄を行うこととなります。兄弟の相続放棄を失念すると、上記の借金について兄弟が弁済することになってしまうため、十分な注意が必要です。

なお、兄弟の相続放棄については、妻と子供が相続放棄を行った事実を知った日から3か月以内であり、被相続人の死亡から3か月以内ではありません。

 上記では、相続放棄について記載していますが、法定単純承認の要件があり、下記のケースでは相続を承認したものとみなされるため、相続放棄する場合には十分に注意してください。

① 相続人が相続財産の全部又は一部を費消したとき

② 相続の開始があったことを知ったときから三か月以内に、限定承認または放棄 の手続きをしなかったとき

予期せぬリスクを負担することがないよう、十分に注意して頂ければと思います。

 なお、実際の事例として、葬式での顔合わせを最後に相続争いに発展している案件が多数あるため、出来る限り事前に公正証書遺言による意思表示をお勧めしています。



=====================
※相続のご相談なら長公認会計士事務所 まで

HPアドレス   http://www.chou-acctg.com
電   話  092-731-4640
=====================

 

 

土地所有権の放棄

「土地所有権の放棄」

 相続財産である不要な土地の所有権を放棄できませんか?
 結論から申し上げると現状では難しいものとなっています。

 親からの相続財産の土地で相続後は住まず、賃貸にも適さず、かといって売却も出来ないという土地は管理コストのみ掛かり相続したくありません。

しかし、一部財産のみの相続放棄はできません。相続放棄する場合は全ての財産を放棄しなければなりません。

 相続財産を放棄した場合には固定資産税はかからなくなります。しかし、その土地を管理する義務はあります。誰かに売却等するまでは放棄した人で管理しなければなりません。

 では、土地を誰かに受け取ってもらえませんか?
 例えば国や地方自治体が受け取っているケースもあります。しかし、受け入れ数は少なく、大半が断られてしまいます。生前贈与を受けた土地の所有権を放棄して国に引き取るようにと裁判を起こした例もあります。

 法律上、所有権のない不動産は国のものとなるとなっており、所有権を放棄した土地は法律上国のものとなります。しかし、判決は国が引き取ることを認めませんでした。

 判決では「…不動産の所有者に認められる権利の本来の目的を逸脱し、社会の倫理観念に反する不当な結果をもたらすものであると評価せざるを得ないのであっ て、権利濫用に当たり許されない」という地裁判決が下され、この訴えを権利の濫用としています。

 国への寄付も難しいということで、一番引き取ってもらえる可能性が高い相手としては隣人などの個人になるかと考えられます。ですが、個人に寄付する場合には相手側で贈与税が発生する可能性があります。そこをあらかじめ検討する必要があります。

 個人ではなく、法人に寄附する場合も注意が必要です。
法人に対する寄附は土地を売ったときと同じ処理をしなければなりません。

つまり、時価で売却があったものとして、そこから取得価額等を差し引いて利益の分に対して税金が掛ってきます。

 利用価値がなく、処分に困る不動産をどうするか生前から考える必要がありそうです。

=====================
※相続のご相談なら長公認会計士事務所 まで

HPアドレス   http://www.chou-acctg.com
電   話  092-731-4640
=====================