慶弔休暇など特別休暇のルールを定める上でのポイント
働き方改革関連法において、2019年4月以降、年次有給休暇5日(以下「年休」という)の取得義務化が行われますが、多くの会社ではこの年休のほかにも、従業員の慶弔が生じた際などに休暇を与える「特別休暇」を設けています。
特別休暇は任意の制度であることから、安定的な運用を行うには、細かな取扱いを規定しておくことが重要です。以下では、その運用上のルールを規定する上でのポイントを確認しておきましょう。
法律で定められた休暇
・年次有給休暇
・生理休暇
・育児休業
・介護休業
etc
就業規則により会社が任意に定めた特別休暇
・病気休暇
・ボランティア休暇
・リフレッシュ休暇
・裁判員休暇
etc
1.特別休暇の取扱い
特別休暇は年休とは異なり、法律で義務付けられているものではなく、原則として会社が任意で定める休暇です。
平成25年度の厚生労働省の調査によると、全体で57.9%の会社が「特別休暇の制度がある」と回答し、導入されているものを確認すると「夏季休暇」44.7%、「病気休暇」22.4%、「リフレッシュ休暇」11.1%の順になっています。調査結果には出てきておりませんが、一般的に多く導入されていると思われるものに、従業員が結婚したときや、身内に不幸があったときに利用できる慶弔休暇があります。
2.特別休暇を規定する際のポイント
休暇に関する事項は、就業規則に記載しなければならない絶対的必要記載事項であるため、特別休暇を設けるのであれば、就業規則に記載しなければなりません。特別休暇について就業規則等へ規定する際には、以下の事項を検討し、ポイントを押さえて規定する必要があります。
(1)特別休暇を取得できる従業員の範囲
特別休暇はその趣旨に基づき、対象者を決定することが必要です。例えば、勤続1年以上の従業員や試用期間満了後の従業員など、対象者を限定することになります。このように、対象者を限定するのであれば、就業規則等へ定めておく必要があります。
(2)特別休暇の対象となる事由と休暇日数
従業員の結婚や配偶者の出産、身内の不幸など、特別休暇の対象とする事由(目的)は様々です。会社においてどのような事由について特別休暇を設けるのか、また、そのときの休暇日数はどのように定めるのかを検討します。
よく問題となる事象に、忌引の特別休暇であれば、配偶者や父母・祖父母など、どこまでの者を対象とするかというものがあり、これに加え、それぞれ何日まで与えるのか、お通夜やお葬式が会社の所定休日と重なったときには休暇をどのように数えるのかといったことまで検討し、就業規則に盛り込んでおくことが望まれます。
(3)特別休暇取得時の賃金の取扱い
年休を取得したときには、その名称の通り、有給休暇として「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」等の賃金の支払いが会社に求められます。一方で、特別休暇を取得したときの賃金の取扱いについては、会社が自由に定めることができます。一般的に慶弔に関する特別休暇は、祝福やお悔やみの意味から有給とする会社が多いことを前提に取扱いを検討するとよいでしょう。
働き方改革関連法が成立したことにより、就業規則の見直し等が検討されますが、従業員の労働条件を不利益に変更しない等の配慮が求められます。
就業規則の変更には、ご注意ください。
(記事)【所員:末吉】
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