役員変更登記失念による「みなし解散」
法務局の休眠会社・休眠一般法人の整理作業により、最後の登記から12年経過した株式会社は、職権によるみなし解散が行われます。みなし解散とは休眠会社の整理を目的に、長期間、登記がなされていない会社を職権で強制的に解散させてしまう制度です。
株式会社の場合は12年、一般社団・財団法人の場合は5年間登記をしていないと、法務局が解散登記をしてしまいます。昨年は、平成29年10月12日に、管轄登記所から通知書が発行されました。
現行の会社法施行前は、役員任期は2年でしたので、多くの会社は2年毎に役員の変更登記を行っていましたが、現行会社法の施行により10年まで伸ばすことが可能になりました。しかし、登記を失念したまま12年が経過するとみなし解散の対象になってしまいます。
みなし解散までの手順は以下のとおりです。
法務大臣による公告…法務大臣が官報で、「事業を廃止していない旨の届出」を2か月以内に提出しない場合、みなし解散の登記を行う旨を公告します。
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法務局からの通知…法務大臣による公告が行われた旨の通知を会社に送達します。
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公告や通知を見て、「まだ事業を廃止していない」旨の届出を提出すれば、みなし解散登記はされません。しかし、届出・登記申請が行われた場合、登記申請を怠っていたペナルティとしての「過料」の通知が行われると予想されます。
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届出・登記申請をせずに通知書発行から2か月を過ぎると法務局登記官により職権で解散登記がなされます。
なお、みなし解散されてしまった場合であっても、3年以内に株主総会で会社継続の旨を決議し、会社継続の登記手続きをすれば、会社を復活させることが可能です。
しかし、救済措置があるとはいえ、会社継続のための手続きには手間とコストがかかります。
これを機に、変更登記がきちんとされているか確認することをおすすめします。
3年連続で大幅な引き上げとなる最低賃金
厚生労働省が、10月に入り各都道府県で順次行われた最低賃金の改定額を公表しました。
賃金には最低額が定められており、企業は最低賃金以上の賃金を労働者に支払うことが義務付けられています。福岡県の最低賃金は、10月1日から25円上がり、814円になりました。
最低賃金には、都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。このうち「地域別最低賃金」は毎年10月頃に改定されることになっています。
地域別最低賃金は、特定の条件下での減額特例を除き、アルバイト、パートタイマー、契約、派遣、正社員など雇用の形態も、年齢も国籍も問わず、働くすべての人々に適用されます。
2018年度の主な都道府県別の最低賃金額と発効日は、下表のとおりとなっています。近年、大幅な引き上げが続いていますので、最低賃金を下回る金額の従業員がいないかどうかチェックをしておく必要があります。2017年3月に公表された「働き方改革実行計画書」では、最低賃金について、年率3%程度を目途として引上げ、全国加重平均が1,000円になることを目指すとされています。そのためこの引上げは、来年以降も続くことが予想されます。
(単位:円)
都道府県名 | 改定前 | 改定後 | 引上額 | 発効年月日 |
東京 | 958 | 985 | 27 | 2018年10月1日 |
愛知 | 871 | 898 | 27 | 2018年10月1日 |
大阪 | 909 | 936 | 27 | 2018年10月1日 |
福岡 | 789 | 814 | 25 | 2018年10月1日 |
佐賀 | 767 | 762 | 25 | 2018年10月4日 |
長崎・熊本・大分 | 737 | 762 | 25 | 2018年10月1日 |
宮崎 | 737 | 762 | 25 | 2018年10月5日 |
鹿児島 | 737 | 761 | 24 | 2018年10月1日 |
沖縄 | 737 | 762 | 25 | 2018年10月3日 |
全国加重平均額 | 848 | 874 | – |
(2018年度地域別最低賃金改定状況 厚生労働省ホームページより)
(記事)【所員:岩永】
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