半日単位の年次有給休暇を導入する際の留意点
2019年4月より年5日の年次有給休暇(以下、「年休」)の取得が義務化されました。年休の取得率を向上させるため対策の一つとして、半日単位の年休制度の導入を検討する企業もあるでしょう。基本的な考え方と、制度導入の際の留意点を確認しておきます。
(1)半日の基本的な考え方
年休はそもそも日単位で1日まるまる休息に充てることを前提に設けられた制度です。したがって、法令では半日単位で取得することは想定されておらず、会社に半日単位で取得できるようにすることの義務はありません。
一方で、半日程度で済む用事に対し年休を有効的に取りたいという従業員の意向もあるため、従業員がその取得を希望して時季を指定し、企業が同意した場合には半日単位で取得することは差し支えないとされています。
(2)半日単位の考え方
半日の定義に関して法令等で明確な定めはありませんので、半日単位の年休を導入するときには、各企業で合理的な方法で決定する必要があります。一般的には①休憩時刻を基準とする方法と②所定労働時間の半分とする方法が考えられています。ここでは、始業時刻9時、終業時刻18時(休憩:正午から13時までの1時間、所定労働時間8時間)の会社を例にとって考えてみます。
①休憩時刻を基準とする方法
休憩の正午を基準とする場合、半日単位の年休は、前半が9時~12時の3時間、後半が13時~18時の5時間となります。
②所定労働時間の半分とする方法
所定労働時間の8時間を半分とし、前半を9時~13時、後半を14時~18時として扱うことになります。
①の方法では、前半・後半のいずれを取得するかによって、取得できる時間数が異なってきます。一方、②の方法を導入するときには、休憩時間をどのように扱うかが問題となります。法律上、6時間以下の場合には休憩時間を設ける必要はないため、場合によっては、半日単位の年休で前半を取得するときには、休憩を設けない方法として9時~13時(休憩なし)とすることも考えられます。
半日単位の年休の制度を設けるかどうかは従業員の要望と企業の判断によりますが、設ける際には何をもって半日とするかについて事前に取り決め、就業規則で明確に規定しておきましょう。
(記事)【所員:野中】
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