厚生労働省は労使団体や業種別事業主団体などの経済団体に「職場における新型コロナウイルス感染症への感染予防及び健康管理について」周知の協力依頼を過去3回しており、更に2020年11月27日付けで第4回目の協力依頼をしました。
その際、改訂版の「職場における新型コロナウイルス感染症の拡⼤を防⽌するためのチェックリスト」などを活⽤することを提案しています。
今回改訂されたチェックリストの内容は「はい」・「いいえ」の選択方式で以下の通りです。
1感染予防のための体制
・事業場のトップが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に積極的に取り組むことを表明し、労働者に対して感染予防を推進することの重要性を伝えている。
・事業場の感染症予防の責任者及び担当者を任命している。(衛生管理者、衛生推進者など)
・会社の取組やルールについて、労働者全員に周知を行っている。
・労働者が感染予防の行動を取るように指導することを、管理監督者に教育している。
・安全衛生委員会、衛生委員会等の労使が集まる場において、新型コロナウイルス感染症の拡大防止をテーマとして取り上げ、事業場の実態を踏まえた、実現可能な対策を議論している。
・職場以外でも労働者が感染予防の行動を取るよう感染リスクが高まる「5つの場面」や「新しい生活様式」の実践例について、労働者全員に周知を行っている。
・新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)を周知し、インストールを労働者に勧奨している。
2感染防止のための基本的な対策
(1)感染防止のための3つの基本:①身体的距離の確保、②マスクの着用、③手洗い
・人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)空けることを求めている。
・会話をする際は、可能な限り真正面を避けることを求めている。
“・外出時、屋内にいるときや会話をするときに、症状がなくてもマスクの着用を求めている。
※熱中症のリスクがある場合には、6についても確認してください。”
・手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗うことを求めている(手指消毒薬の使用も可)。
(2)三つの密の回避等の徹底
・三つの密(密集、密接、密閉)を回避する行動について全員に周知し、職場以外も含めて回避の徹底を求めている。
(3)日常的な健康状態の確認
・出勤前に体温を確認するよう全員に周知し、徹底を求めている。
・出社時等に、全員の日々の体調(発熱やだるさを含む風邪症状の有無、味覚や嗅覚の異常の有無等)を確認している。
・体調不良時には正直に申告しやすい雰囲気を醸成し、体調不良の訴えがあれば勤務させないこと、正直に申告し休むことで不利益な扱いにしないことを、職場で確認している。
(4)一般的な健康確保措置
・長時間の時間外労働を避けるなど、疲労が蓄積しないように配慮している。
・十分な栄養摂取と睡眠の確保について全員に周知し、意識するよう求めている。
(5)「新しい生活様式」の実践例で示された「働き方の新しいスタイル」の取組状況について
・「テレワークやローテーション勤務」を取り入れている。
・「時差通勤でゆったりと」を取り入れている。
・オフィスの人口密度を減らした「オフィスはひろびろと」を取り入れている。
・「会議はオンライン」を取り入れている。
・「名刺交換はオンライン」を取り入れている。
・「対面での打合せは換気とマスク」を取り入れている。
(6)新型コロナウイルス感染症に対する情報の収集
・国、地方自治体や一般社団法人日本渡航医学会や公益社団法人日本産業衛生学会等の公益性の高い学術学会等のホームページ等を通じて最新の情報を収集している。
3感染防止のための具体的な対策
(1)基本的な対策
・①換気の悪い密閉空間、②多くの人が密集、③近距離での会話や発声の「3つの密」を同時に満たす行事等を行わないようにしている。
・上記「3つの密」が重ならなくても、リスクを低減させるため、出来る限り「ゼロ密」を目指している。
(2)換気の悪い密閉空間の改善
・職場の建物が機械換気(空気調和設備、機械換気設備)の場合、建築物衛生法令の空気環境の基準が満たされている(ただし、温度は18℃以上に維持することが望ましいこと)。
・職場の建物の窓が開く場合、リーフレット「冬場における『換気の悪い密閉空間』を改善するための換気の方法」で推奨する方法により、居室の温度18℃以上かつ相対湿度40%以上を維持しつつ、窓を開けて適切に換気を行っている(HEPAフィルタ付き空気清浄機の適切な活用を含む。)。
・電車等の公共交通機関の利用に際し、窓開けに協力するよう全員に周知している。
(3)多くの人が密集する場所の改善
・業態に応じて可能な範囲で出勤を抑制するように努めている。
・電車やバス等での他人との密着を防ぐため、時差通勤、自転車通勤、自家用車通勤などの活用を図っている。
・テレビ会議やWeb会議の活用等により、人が集まる形での会議等をなるべく避けるようにしている。
・対面での会議やミーティング等を行う場合は、マスクの着用を原則とし、人と人の間隔をできるだけ2m(最低1m)空、可能な限り真正面を避けるようにしている。
・接客業等において、人と人が近距離で対面することが避けられない場所は、労働者にマスクを着用させ、人と人の間にアクリル板、不燃性透明ビニールカーテンなどで遮蔽するようにしている。
・職場外(バスの移動等)でもマスクの着用や、換気、人との間隔を取る等、三つの密を回避するよう努めることとしている。
(4)接触感染の防止について
・物品・機器等(例:電話、パソコン、デスク等)や治具・工具などについては、複数人での共用をできる限り回避している。共用する場合には使用前後での手洗いや手指消毒を徹底している。
・自由に着席場所を選んで仕事を行うフリーアドレスを導入する場合には、使用前後での消毒、充分な座席間隔の確保、利用状況の記録等を実施することとしている。
“・事業所内で複数の労働者が触れることがある物品、機器、治具・工具等について、こまめにアルコール(容量%で60%以上)や界面活性剤や次亜塩素酸ナトリウム0.05%水溶液による清拭消毒を実施することとしている。
※人がいる環境に、消毒や除菌効果を謳う商品を空間噴霧して使用することは、眼、皮膚への付着や吸入による健康影響のおそれがあることから推奨されていません。”
(5)近距離での会話や発声の抑制
・職場では、同僚を含む他人と会話する際には、大きな声を出さずに距離をなるべく保持するようにしている。
・外来者、顧客、取引先との対面での接触や近距離での会話をなるべく避けるようにしている。
・どうしてもマスクなしで1m以内で会話する必要がある場合は、15分以内に留めるようにしている。
・粉じんや化学物質など、呼吸用保護マスクを装着する必要がある作業では、声で合図連絡する場合にはマスクを外さないように周知している。拡声器使用や伝声板付きのマスク採用が望ましい。
(6)共用トイレの清掃等について
・不特定多数が接触する場所は、清拭消毒を行うこととしている。
・トイレの床や壁は次亜塩素酸ナトリウム0.1%水溶液で手袋を用いて清拭消毒する。
・トイレの蓋を閉めて汚物を流すように表示している。(便器内は通常の清掃でよい)
・ペーパータオルを設置するか、個人ごとにタオルを準備する。
・ハンドドライヤーは止め、共用のタオルを禁止している。
(7)休憩スペース等の利用について
・一度に休憩する人数を減らし、対面で食事や会話を控え、長居しないようにしている。
・休憩スペースは常時換気することに努めている。
・休憩スペースの共有する物品(テーブル、いす、自販機ボタン等)は、定期的に消毒をしている。
・休憩スペースへの入退室の前後に手洗い又は手指の消毒をさせている。
・社員食堂での感染防止のため、座席数を減らす、座る位置を制限している、マスクを外したままの談笑を控えるよう注意喚起している、昼休み等の休憩時間に幅を持たせている、などの工夫をしている。
・社員食堂では感染防止のため、トングやポットなどの共用を避けている。
・喫煙所では同時に利用する人数に制限を設け、手指消毒後に十分乾いてから喫煙するよう指導し、会話をせず喫煙後は速やかに立ち退くことを、利用者に周知し、徹底している。
・その他の共有の施設について、密閉、密集、密接とならないよう利用方法について検討している。
(8)ゴミの廃棄について
・鼻水、唾液などが付いたゴミ(飲用後の紙コップ、ビン、缶、ペットボトルなどを含む)は、ビニール袋に入れて密閉して廃棄することとしている。
・ゴミを回収する人は、マスク、手袋、保護メガネを着用することとし、作業後は必ず石けんと流水で手洗いをすることとしている。
4配慮が必要な労働者への対応等
・風邪症状等が出た場合は、「出勤しない・させない」の徹底と、かかりつけ医等の地域で身近な医療機関への電話相談を求めている。
・高齢者や基礎疾患(糖尿病、心不全、慢性呼吸器疾患、慢性腎臓病、高血圧症、がんなど)を有する者などの重症化リスク因子を持つ労働者及び妊娠している労働者に対しては、本人の申出及び産業医等の意見を踏まえ、感染予防のための就業上の配慮(テレワークや時差出勤等)を行っている。
・特に妊娠中の女性労働者が、医師又は助産師からの指導内容について「母健連絡カード」等で申し出た場合、産業医等の意見も勘案の上、作業の制限または出勤の制限(在宅勤務又は休業をいう。)の措置を行っている。
・テレワークを行う場合は、業務とプライベートの切り分けに留意し、上司や同僚とのコミニュケーション方法を検討し、在宅勤務の特性も理解したうえで、運動不足や睡眠リズムの乱れやメンタルヘルスの問題が顕在化しやすいことを念頭において就業させている。
5新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者(以下「陽性者等」)が出た場合等の対応
(1)陽性者等に対する不利益取扱い、差別禁止の明確化
・新型コロナウイルスの陽性者等であると判明しても、解雇その他の不利益な取扱いを受けないこと及び差別的な取扱いを禁止することを全員に周知し、徹底を求めている。
(2)陽性者等が出た場合の対応
・新型コロナウイルスに陽性であると判明した場合は、速やかに事業場に電話、メール等により連絡することを全員に周知し、徹底を求めている。
・新型コロナウイルスに陽性であると判明した第三者との濃厚接触があり、保健所から自宅待機等の措置を要請された場合は、速やかに事業場に電話、メール等により連絡することを全員に周知し、徹底を求めている。
・新型コロナウイルスに陽性であるとの報告を受け付ける事業場内の部署(担当者)を決め、全員に周知している。また、こうした情報を取り扱う部署(担当者)の取り扱い範囲とプライバシー保護のルールを決め、全員に周知している。
・新型コロナウイルスに陽性である者と濃厚接触した者が職場内にいた場合にどのような対応をするかルール化し、全員に周知している。
・職場の消毒等が必要になった場合の対応について事前に検討を行っている。
(3)その他の対応
・濃厚接触者への対応等、必要な相談を受け付けてくれる「保健所」、「帰国者・接触者相談センター」等を確認してある。
・事業場内の診療・保健施設で体調不良者を受け入れる場合は、事業場内での感染拡大の原因となる可能性があることに留意し、医療従事者は標準予防策を遵守し、適切な感染予防体制(受診者のマスク着用、待合や動線を分ける、受診者が一定の距離を保てるよう配慮するなど)を実行している。
6熱中症の予防(※暑熱作業があるなど熱中症のリスクがある場合に確認してください。)
・身体からの発熱を極力抑えるため、作業の身体負荷を減らすとともに、休憩を多くとることの重要性を周知している。
“・のどの渇きを感じなくても、労働者に水分・塩分を摂取するよう周知し、徹底を求めている。
※マスクで口が覆われることにより、のどの渇きを感じにくくなることがあります。”
・屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合で、大声を出す必要がないときには、マスクをはずすよう周知している。
(記事)【所員:髙田】
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