氣づき通信 平成28年02月企業

日銀がマイナス金利を導入!

どう変わるのだろうか?

 

日銀が1月末にマイナス金利を導入しました。これは、銀行が余った資金を日本銀行に預けているのですが、2月から従来よりも余分に預けるとその部分について、マイナスの金利を取りますよという事のようです。

この効果がどうなるのか分かりません。色々と経済誌や新聞等で推測されています。日本より1年以上前に先にマイナス金利を導入したヨーロッパで見ると、基本的には通貨ユーロがドルに対して安くなっています。この事から日銀は、円をドルに対して円安にしたいという効果を狙っているとされています。

 

銀行の原則的な資金運用は、預金で資金を調達し貸付金で運用し、さやを抜くというものです。貸出先が少ないのでさらに、国債等を購入しさやを抜く、更には日銀に預けて金利をもらうという事が続いていたわけですが、これ以上日銀に預金を預けるとマイナス金利が付くとなれば民間融資を増やすだろうという話もありますがヨーロッパではそういう事は起きていない。

逆に銀行として手数料等の形で預金者からお金をもらうという方向にいっているとされています。預金については更に銀行の収益が厳しくなる事は間違いありません。

 

しかし、2%の物価目標必達に「何でもやる」黒田日銀は、今後もマイナス金利幅を拡大してくる可能性は十分にあります。大変なのは貸出先が限られた地方銀行です。

地銀の中には預貸率50%という銀行もあります。預貸率が50%というのは、預金を100集めたが50しか貸出に回らない。結果、残りの50は国債等で資金運用するか、日銀の当座に預けておくしか手はありません。

その日銀への預金が、今後増加する部分には、マイナス金利がつくことになりました。貸出競争も激化し、銀行の収益環境は厳しくなる一方です。国債の金利もゼロに近い。収益性が悪化します。

 

銀行が生き残っていくためには更なるコスト削減が必要になります。コスト削減を進めていく彼方に銀行再編が待ち受けています。東京都民銀行と国民銀行、普銀転換した八千代信金が統合し東京TYFGになっています。

 

このように銀行再編が進むと、借り手企業はどう対処していけばよいか真剣に検討しておく必要があります。東京三菱がUFJを統合した際には、UFJをメイン銀行にしていた中小企業が統合後の融資の扱いで不利益を受けたケースもあったという話です。

 

現在、取引している銀行が二つあり、A銀行から5億円の融資を受け、B銀行からは1億円の融資があったとします。通常、メインバンクはA銀行です。そのA行とB行が統合し、B行が主導権を握った形になったとしたら、借り手企業に対する融資姿勢が従来と変わらないと言い切れるのでしょうか。ましてリスケの経験ある中小企業がこうした銀行再編に巻き込まれるとどうなっていくのでしょうか。

 

取引している銀行の財務状態とか預貸率とか知っておく必要があるといいます。上場している銀行であれば、年末から現在までの株価の下落率で、銀行の評価を見て置くことも重要でしょう。主導権を握るであろう銀行をメインバンクにするか、メイン行以外に、地銀、第二地銀、政府系銀行などと取引銀行を増やしていくことも自衛策となるのかもしれません。

 

(注)

日本の国は出来るだけ銀行に融資させて、企業に設備投資をさせたいと思っています。また、中小企業の倒産が増える事を嫌がっています。

 

 

金融庁が全国の地銀向けに、「一時的に赤字や債務超過に陥った経営難の中小企業にも成長融資を」と呼びかけたと報道されています。

具体的には「短期継続融資」という手法で、企業の運転資金向け融資を手厚くせよというもののようです。従来からの「手貸し」や「折り返し融資」と同様に、返済期限が到来しても同じ額を同じ期間、借り換えする融資の形態です。

 

マイナス金利で、日銀からより積極的な融資拡大を突き上げられるものの、融資姿勢を甘くすれば不良債権が増えるし厳しい状況です。

 

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マネーフォワード(家計簿自動作成ソフト)

 

パソコンやスマホでも連携が取れる家計簿アプリとして今流行っているのがマネーフォワードです。マネーフォワードは無料ということが売り文句、更に金融機関のほとんどと提携しているので自分の保有している口座情報を入力すれば、後は入出金の取引記録を取得してマネーフォワード側が勝手に計算して家計簿を作成してくれるという極めて手間いらずのソフトです。

しかも銀行だけではなく、クレジットカードや電子マネーでの支払も自動で家計簿をつけてくれます。アマゾン等の支払も対応可となっています。

 

単に家計簿としての支払だけでなく、銀行預金の口座情報も入っている訳ですので、今いくら金融資産を持っているのかというところまで管理できるのです。

これが無料でびっくりしていました。どうやって採算をとるのだろうと思っていました。ところが素晴らしい方法があったのです。

 

家計簿・資産管理ソフトの大手であるマネーフォワードは、300万人のユーザーを抱えているといわれています。

大半は金融機関の入出金の取引データ等の自動取込で家計簿を作成する個人ユーザーでしょうが、一部の準富裕層に属する個人は資産管理を主として利用しているはずです。このたび、マネーフォワードが資産運用サービスを展開する「お金のデザイン(https://www.money-design.com)」と資本業務提携しました。「お金のデザイン」は自社のサイトで9つの質問に回答した投資家に最適な資産運用のポートフォリオを数分で提供し、5000を超える世界中のETF(上場投資信託)から30~40のファンドを推奨する投資顧問です。

 

昨年設立されたばかりの「ウェルスナビ(http://www.wealthnavi.com)」も6億円の資金調達を終え、低コストのETFと自動運用を組み合わせたサービスを開始するとのことです。同社の推定だと準富裕層の運用資産は20兆円前後とみて、その2%を顧客開拓する中期計画でスタートし、3~4年で管理資産4000億円前後を目指し、1%の管理手数料を徴収するビジネスモデルです。

 

ネットでの資産運用サービスで準富裕層の囲い込みをするこうした動きと、従来の大手金融機関系のラップ口座営業との間で、競争が激しくなるのでしょう。相続相談など更なる有料サービスの世界へも「お金のデザイン」・「ウェルスナビ」などが広がるような気がします。

 

入口は無料だが、このようにして元を取っていくのでしょう。世の中には頭の良い人達が多いという事を改めて感じました。しかし、このように個人の金融資産のデータを簡単に信用してソフトの提供元に登録してセキュリティは大丈夫かなと他人事ながらも気になりました。

 

 

 

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