合理的「お金道」
所得税の確定申告の時期、たくさんの人の申告書を見ています。所得(損益)だけだったら、ほとんど同じような人であっても、よく見ると負債の額がかなり違っています。
つまり、キャッシュリッチな人とキャッシュが乏しい人の違いです。財産を築いている人、あるいは財産が少ない人の違いかもしれません。
私は「財産を築いている人、築いていない人との違いはどれくらい節約する力を持っているかだ」という邱永漢(昔のお金の神様) の言葉を開業したときに読んで、心がけています。どうしても、そういう目で見てしまいます。
同じようなことを言っている人に経済評論家(主に株式投資等についての評論家)山崎元さんがいます。山崎元さんの『お金に強くなる人(ディスカヴァー社)』等は、正しい貯め方、増やし方、使い方にとっての教科書だと思っています。
さて、たまたまインターネットを見ていましたら、株式会社VSNという会社のエンジニア求人サイトに、山崎元さんが「エンジニアの生きる道」として連載しているのを見つけました。
その中で「合理的お金道」という話をしています。その中で印象に残った言葉を紹介します。
・『仕事で関わる技術・知識にはこだわりがあっても、自分のお金の問題には無頓着な方が多いので
はないか』
・『エンジニアが自分自身のお金を扱う上での勘所をご案内したい』
・『お金の基本四原則
①金融商品を購入する相手と「相談」しない
②手取り収入の2割貯める
③手数料の高い物・分からない物に投資しない
④勝ち負けにこだわらない 』
①金融商品を購入する相手と「相談しない」
『「お金道」の第一の心得は「お金の問題にあっては、他人を信じるな」という性悪説である。アドバイスを求めるなら、金融商品購入の相手にはなり得ない中立な専門家が相手でなければならない』
(私の意見:とは言っても、そういう中立な専門家がどこにいるか分からないのであるが。そういう人は、食べていけませんので・・・。)
②手取り収入の2割貯める
23歳~65歳まで、今42年間働く、そして、65歳~85歳まで20年間生きるとすれば、40年間の稼ぎが毎年100であるとすれば42×100×20%=840である。これを、20年で割れば毎年42使える事になる。
働いている時、毎年100×80%=80で生活しているのであるから、働かなくなった後42(つまり現役時代の半分)で暮らしていく事になる。実際には、老後には子供にかかる費用が無くなるし、国の年金がいくらもらえるか分からなくても、かなりの生活は出来るハズだという論法です。
現実に今、日本の国は年収の18%を厚生年金の保険料として吸い上げています(会社負担分を含む)。この計算があっているかわかりませんが、しかし学生時代の事を考えると給料をもらうようになってからの収入は跳ね上がっているはずです。
結局、貯蓄の大切さを説いています。老後不安の問題は機関別の支出配分の問題だ。運用とか保険とか不動産とかで一気に解決できる方法があると考えるのは間違いのもとだ。
(注:邱永漢がしつこく言っていたのもこの事です。所得が高いからお金が余る、所得が低いからお金が余らないということではない。所得が低い時にも生活費を抑え貯蓄できる人は、所得が増えた後もっとたくさん貯蓄できるようになる。所得が高くてもそれ以上にお金を使う習性が付いている人はいかに所得が増えようともそれに応じて使うお金が増えいくので、結局お金が貯まらないということを強調しています。)
③手数料の高い物・分からない物に投資しない
このあたりは筆者が専門とする投資信託等の金融資産の運用についての基本的な山崎元さんの主張です。
④勝ち負けにこだわらない
『「株式や投資信託を、自分が買った値段よりも、是が非でも高く売りたいと思っている」、「研究すれば、投資の必勝法が見つかると思っている」、「賢い人、知識が豊富な人の方が投資で儲かると思っている」といった思い込みは、全て間違いであり、危険だ』
『株式や投資信託を過去に自分が買った値段は、「過去のこと」であり、将来の値動きには無関係だ。過去にこだわらないことは、感情の面ではなかなか大変な事なのだが、合理性に対する理解の深いエンジニアの方なら、その重要性をきっと分かってくれるだろうと期待している。』
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