医療法人の出資持分を放棄した場合、
医療法人に贈与税が課税されない条件が緩和されます
詳しい条件は現在不明です。
平成19年3月以前に設立された社団医療法人はその殆どが出資持分の定めのある社団医療法人(当時約43,000法人)とされ、現在、経過措置型医療法人と呼ばれています。
出資持分の定めのある医療法人は医療法人に貯まった内部留保は医療法人が解散した時、あるいは、医療法人から社員が退社したときにその持分に応じて返すとされています。
厚生労働省としては、持分の定めのない法人(解散時には、内部留保(利益の積立金)は国等に帰属する医療法人)に組織変更してもらいたい。
一方、持分の定めのある医療法人では、内部留保が貯まっている大きな病院になればなるほど実際に払い戻すという事が出来ず、逆に相続が発生した時には相続人に相当な高額の相続税がかかるという形になっています。
もちろん定款変更して組織変更すれば出資持分の放棄は出来るので相続税は相続人にはかからなくなります。
しかし、相続税がかからなくなった分だけ医療法人の方が払戻しをしなくて済むので得をしているという考え方にたち、出資持分の払戻し請求権を放棄したときに医療法人から贈与税を取るという仕組みにしています。
このため、日本医師会では何年も前から出資持分の放棄に伴い医療法人に贈与税を課税する制度を辞めてくれ、贈与税を取らないように税法を変えてくれという税法改正要求を繰り返してやっていました。
3年前これを受けて認定医療法人という制度が出来ました。
この制度は厚生労働省が認定した場合、相続が起きても一定額相続税の納税を猶予する、そして実際に3年以内に出資持分が放棄されて、出資持分無しの医療法人に変更された場合には相続税を免除しますよという制度です。
しかし、その時は国税庁との話の統一がされておらず、国税庁は従来のいわゆる社会医療法人並みの厳しい条件をみたす形での医療法人の出資持分の放棄でない限り贈与税を取りますという制度でした。
この為、実際平成19年以降出資持分の放棄をした医療法人は平成28年までに約2,500法人とわずかにとどまっています。それも社会医療法人へ組織変更したのか、それとも相応の贈与税を支払い持分の放棄をしたと思われます。
どのような条件で医療法人の出資持分を放棄したときに、贈与税が課税されなくなるのかという事は、まず今度の国会で第8次(平成18年度)医療法改訂をもう一度改正して、認定医療法人の基準を改定して定めるものとされています。
従前の贈与税が非課税となる基準、同族関係等関係者が役員等の総数の1/3等よりもハードルが低くなると推測されます。
また逆に、改正後の認定を受けて出資持分を贈与税なしで放棄した後、6年以内にその認定の条件を満たさなくなった場合には遡って贈与税を取るという事になります。
問題は新たな認定医療法人の条件ですが、今現在分かっているのは、法人関係者に利益供与しない事、役員報酬に対して不当に高額にならないように定めている事、社会保険診療による収入が全体の80%以上という事です。
従来の主な条件は、理事6人、監事2人以上、役員の親族割合1/3以下、医療機関名の医療計画への記載、法人関係者への利益供与しない事等でしたが、それよりは緩和されるのですが、どのような条件になるのかが注目されます。
病院クラスでは、この制度について検討するところも増えると思われます。
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