見えてきた新たな連結納税制度
平成30年10月23日に開催された政府税調で「連結納税制度に関する専門家会合」の設置が了承されたことで、2020年度税制改正で連結納税制度が抜本的に見直されることは、もはや決定的となっています。
見直しのキーワードは「簡素化」で、経団連から提示された連結納税法人が挙げる連結納税制度の適用によるデメリット:「申告の事務負担が増えた」「税務調査等による事後の修正負担が増えた」「連結加入時の手続・検討の手間等の事務負担が増えた」といった事務負担の増加の大幅な緩和を図るものと思われます。
見直しの方向性としては、連結グループ全体(黒字の連結法人の個別所得と赤字の連結法人の欠損金を損益通算して)で連結所得、連結税額を計算するという現在の仕組みから、より個別の連結法人ごとの計算を尊重した仕組み(赤字の連結法人の欠損金の合計額を黒字の連結法人の個別所得の比により按分する方式)へと移行することが念頭の置かれている模様とのことです。これに伴い、法人税の申告・納付も連結親法人ではなくて、「各連結法人」が行うようになることが予想されています。
この方式は個別申告方式とよばれています。この個別申告方式に拠ると、赤字の連結法人の欠損金は黒字の連結法人に配分された結果、消滅(ゼロとなる)するので、所得ゼロ法人は納税を行う必要はありませんが、申告は求められることになります。
実務上一番注目しているのが、連結納税グループ内の一部の法人で修正申告や更生が行われた場合その影響が連結納税グループ内の全法人に及ぶという問題の解消です。
赤字の連結法人の税務調査等で所得の増減があったとしても「一度使用した欠損金」は固定化し増減は考慮しないという方法で、一法人の所得の変動の影響が連結納税グループの全法人の及ばないようにすることを財務省は考えているようです。ただこのアイデアであれば、黒字の連結法人の税務調査等で所得の増減があった場合は、その影響は連結納税グループ内の黒字の法人に及ぶように思われるので、今後の議論の展開が待たれるところです。
(記事)【所員:山崎】
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