気づき通信 平成29年11月医業

 

103万円と130万円の壁 交通費・通勤費は?

 

よく103万円の壁と130万円の壁という言葉を耳にします。

 

このうち、103万円の壁とは、税金面での扶養に入れる境目を指します。

これは、原則として、毎年1月から12月までの確定収入額によって判断されます。年間の収入が103万円を越えなければ、所得税を払う必要はありません。

 

一方、130万円の壁とは、社会保険面での扶養に入れる境目を指します。

これは、原則として、今後の収入が常に年収130万円以上となるかどうかの見込収入額によって判断されます。年間の収入が130万円を越えなければ、社会保険料を払う必要はありません。

 

それでは、103万円・130万円に交通費や通勤手当は含まれるのでしょうか。

 

まず103万円の方ですが、こちらには通常の非課税交通費は含まれません。

つまり交通費を除いた純支給額で考えるのです。但し、電車・バス通勤者の交通費の非課税限度額が10万円ですので、これ以内の交通費であれば103万円に含まれませんが、10万円を越えた交通費は非課税枠を越えますので、103万円に交通費も含まれることになります。

 

一方、130万円の方ですが、こちらにはすべての交通費を含みます。

つまり交通費を含んだ総支給額で考えるのです。社会保険料の計算の基礎となる収入とは事業主から労務の対価として受けるすべての収入をいいますので、130万円には名称の如何を問わず交通費等は含まれることになります。

 

このことは、同じ給与で同じ業務に従事していても、遠距離通勤者の方が、社会保険料が高くなる可能性があることを意味します。同様に、同じ給与で同じ業務に従事していても、通勤距離により扶養範囲で働ける人と働けない人が出てくる可能性があることを意味しますので、気を付けなければなりません。

 

さらに、社会保険料は、勤務日数や時間が正社員の4分の3以上となった時点で原則として加入義務が生じるという面もあり、最終的にはこうした面も検討する必要があることに留意が必要です。

 

 

税務署からのお尋ね書?

 

覚えがない税務署からのお尋ね書は『国外送金等調書』によるものかもしれません。

各銀行は100万円以上の『国外への送金』や『国外からの入金』のデータを税務署に調書として報告しています。これは、保険の満期・解約等時のうち100万円以上保険金支払いしたものを保険会社が税務署へ調書として提出しているのと同じです。

税務署はそれを基に、海外入送金があってから半年から1年後に『お尋ね書』を送り、送金原資や使途、国外所得の有無などを確認しています。

 

現状では、税務署は国外送金等調書で海外とのつながりを把握していますが、来年の9月からは、『共通報告基準(CRS)』により、海外のデータを把握できるようになります。

CRSとは(Common Reporting Standard)の略で、100以上の国・地域で海外居住者(非居住者)の口座情報のうち一定のものを定期的に各国の税務当局に報告する基準のことです。この基準で各国税務署に集められた日本人の海外口座情報が日本の税務署へ報告される仕組みです。報告されるデータは、口座保有者の氏名・住所・納税者番号・口座番号・口座残高・利子配当等の年間受取総額などです。

この情報交換が始まると、税務署は海外送金がなくても海外財産の存在を把握することが出来るようになります。平成30年9月30日の初回の報告での報告対象口座・対象外口座は以下の通りです。

 

初回報告対象
新規口座 個人・法人口座開設の場合 報告義務対象
既存口座 海外個人口座で、預金口座が一口座当たり100万US$超の場合 報告義務対象
海外個人口座で、預金口座が一口座当たり100万US$未満の場合 報告義務対象外
海外法人口座で、預金口座が一口座当たり25万US$超の場合 報告義務対象
海外法人口座で、預金口座が一口座当たり25万US$未満の場合 報告義務対象外

 

翌年からの報告はすべての口座になるので、海外の所得などが国税庁に容易に把握されることになります。国際的な脱税や租税回避に対処するためとは言え、海外口座の内容が勝手に国税庁に送られるのは、あまり気持ちのいいものではありませんね。

 

 

 

 

 

=====================
※相続のご相談なら長公認会計士事務所 まで

HPアドレス   http://www.chou-acctg.com
電   話  092-731-4640
=====================

 

 

 

気づき通信 平成29年11月企業

 

103万円と130万円の壁 交通費・通勤費は?

 

よく103万円の壁と130万円の壁という言葉を耳にします。

 

このうち、103万円の壁とは、税金面での扶養に入れる境目を指します。

これは、原則として、毎年1月から12月までの確定収入額によって判断されます。年間の収入が103万円を越えなければ、所得税を払う必要はありません。

 

一方、130万円の壁とは、社会保険面での扶養に入れる境目を指します。

これは、原則として、今後の収入が常に年収130万円以上となるかどうかの見込収入額によって判断されます。年間の収入が130万円を越えなければ、社会保険料を払う必要はありません。

 

それでは、103万円・130万円に交通費や通勤手当は含まれるのでしょうか。

 

まず103万円の方ですが、こちらには通常の非課税交通費は含まれません。

つまり交通費を除いた純支給額で考えるのです。但し、電車・バス通勤者の交通費の非課税限度額が10万円ですので、これ以内の交通費であれば103万円に含まれませんが、10万円を越えた交通費は非課税枠を越えますので、103万円に交通費も含まれることになります。

 

一方、130万円の方ですが、こちらにはすべての交通費を含みます。

つまり交通費を含んだ総支給額で考えるのです。社会保険料の計算の基礎となる収入とは事業主から労務の対価として受けるすべての収入をいいますので、130万円には名称の如何を問わず交通費等は含まれることになります。

 

このことは、同じ給与で同じ業務に従事していても、遠距離通勤者の方が、社会保険料が高くなる可能性があることを意味します。同様に、同じ給与で同じ業務に従事していても、通勤距離により扶養範囲で働ける人と働けない人が出てくる可能性があることを意味しますので、気を付けなければなりません。

 

さらに、社会保険料は、勤務日数や時間が正社員の4分の3以上となった時点で原則として加入義務が生じるという面もあり、最終的にはこうした面も検討する必要があることに留意が必要です。

 

 

税務署からのお尋ね書?

 

覚えがない税務署からのお尋ね書は『国外送金等調書』によるものかもしれません。

各銀行は100万円以上の『国外への送金』や『国外からの入金』のデータを税務署に調書として報告しています。これは、保険の満期・解約等時のうち100万円以上保険金支払いしたものを保険会社が税務署へ調書として提出しているのと同じです。

税務署はそれを基に、海外入送金があってから半年から1年後に『お尋ね書』を送り、送金原資や使途、国外所得の有無などを確認しています。

 

現状では、税務署は国外送金等調書で海外とのつながりを把握していますが、来年の9月からは、『共通報告基準(CRS)』により、海外のデータを把握できるようになります。

CRSとは(Common Reporting Standard)の略で、100以上の国・地域で海外居住者(非居住者)の口座情報のうち一定のものを定期的に各国の税務当局に報告する基準のことです。この基準で各国税務署に集められた日本人の海外口座情報が日本の税務署へ報告される仕組みです。報告されるデータは、口座保有者の氏名・住所・納税者番号・口座番号・口座残高・利子配当等の年間受取総額などです。

この情報交換が始まると、税務署は海外送金がなくても海外財産の存在を把握することが出来るようになります。平成30年9月30日の初回の報告での報告対象口座・対象外口座は以下の通りです。

 

初回報告対象
新規口座 個人・法人口座開設の場合 報告義務対象
既存口座 海外個人口座で、預金口座が一口座当たり100万US$超の場合 報告義務対象
海外個人口座で、預金口座が一口座当たり100万US$未満の場合 報告義務対象外
海外法人口座で、預金口座が一口座当たり25万US$超の場合 報告義務対象
海外法人口座で、預金口座が一口座当たり25万US$未満の場合 報告義務対象外

 

翌年からの報告はすべての口座になるので、海外の所得などが国税庁に容易に把握されることになります。国際的な脱税や租税回避に対処するためとは言え、海外口座の内容が勝手に国税庁に送られるのは、あまり気持ちのいいものではありませんね。

 

 

 

 

 

=====================
※相続のご相談なら長公認会計士事務所 まで

HPアドレス   http://www.chou-acctg.com
電   話  092-731-4640
=====================