気づき通信 平成31年03月企業

  

   

2019年10月稼働予定 地方税共通納税システム

[経理の合理化]

 法人税や所得税の世界では電子申告のシステムが完成しています。単純に言えば、インターネットを通じて税務申告が可能です。

 一方、地方税は、電子申告は可能ですが、納税についてはかなり困難でした。各市町村の振込用紙により指定取扱い銀行へ振り込まなければならなかったのです。

 eLTAX(地方税ポータルシステム)の機能を充実させて、地方税共通納税システムを今年10月より稼働させる予定です。eLTAXを用いて、税務申告だけでなく納税も行えるようになります。

 まとめれば、法人が地方税や事業税の申告書を複数の都道府県・市区町村に郵送ではなく、インターネットでまとめて送信しているのと同じように、税金の納付もインターネットで納付金額を直接伝送し、1箇所で納税できるようになります。納税そのものは、①1箇所の預金口座に銀行から送金する、②インターネットバンキングで送金、③予め金融機関口座を登録した上で、電子申告に基づいて自動振替による電子納税が行えるようになる予定です。

 特に経理事務の合理化になるのは給与計算です。

 会社は、従業員への年間源泉徴収票(給与支払報告書)を電子申告により市町村へ送付できるのに加え、毎月の給与から天引きする個人住民税(特別徴収分)を電子データ(特別徴収税額通知)をもらい、その天引きした地方税(地方徴収分)のデータをeLTAXに入力すれば、振替納税などで自動的に納税されます。

 今まで頭痛のたねだった銀行へ行き、各市町村へ地方税をまとめて納税するという業務から解放されますので、経理の合理化のために是非今年の10月以降利用しましょう。

地方税共通納税システムの対象税目

(稼働当初)  
(1)電子申告データと連動し納付する税目    ・法人都道府県民税  ・法人事業税  ・地方法人特別税  ・法人市町村民税  ・事業所税  ・個人住民税(退職所得に係る納入申告) (2)納税者が納付金額を直接入力し納付する税目    ・個人住民税(特別徴収分)※延滞金等含む  ・法人都道府県民税の見込納付 及び みなし納付  ・法人事業税の見込納付 及び みなし納付  ・地方法人税特別税の見込納付 及び みなし納付  ・法人市町村民税の見込納付 及び みなし納付  

 

 

   

所得税確定申告の季節に思うこと 雑所得の話

 所得税の確定申告の季節。税務当局はこと細かく税金を取ろうとルールを定めているものだと改めて感心します。

 競馬馬券の儲け

 競馬は相当の枚数の馬券を買って総合的に勝ち負けが決まると思っていましたが…。

 一般の人の馬券の儲け

 はずれ馬券の購入費用は経費にならず勝ち馬券のみの儲けにのみ所得税課税(一時所得)

 年間を通じて相当多数の馬券を購入し続けてだいたいいつも儲け続けたときに限り雑所得

 雑所得= 勝ち馬券の儲け-負け馬券の購入費

(雑所得の例)

 ・民泊収入による収入

 ・インターネットのオークションサイトでの個人販売

 ・仮想通貨の売却

 ・税務署からの還付加算金

 ただし、雑所得による赤字はなかったことにされ、他の所得と通算されません。

 雑所得とは、税法では、給与所得、譲渡所得・・・のいずれにも該当しない所得というとされていて本当になんでも税金をとる印象です。

 なお、公的年金も雑所得に法律上は区分されていますが、「なぜ雑所得の区分なのか」どうしても納得できません。自分の給与から天引きされたものを上乗せして会社が負担して国に払い、それが返ってきた分ではないのかな?

 

 

 

 

=====================
※相続のご相談なら長公認会計士事務所 まで

HPアドレス   http://www.chou-acctg.com
電   話  092-731-4640
=====================

 

 

気づき通信 平成31年03月医業

 

社会福祉法人 会計監査の設置対象法人

社会福祉法人のうち、サービス活動収益30億円超または負債60億円超となる法人は会計監査人(公認会計士による監査)が昨年より義務付けられました。

その監査報酬の平均は441万円であったとのことです。最高で1,200万円、200万円以下もあったとのことです。

私はM&Aなどスポットの監査しか行いませんが、正直いってこれは安いなという感じをもっています。

上場会社を対象とする、いわゆる金融庁の対象となる会計士の責任の重い監査でないこと、及び新規にやさしい(責任の軽い)監査だということ、新しく監査に進出したいと思っている若手の会計士の存在などが集まっての結果だろうと思います。

なお、当初予定されていた会計監査対象の拡大は予想通り、延長されました。

従来の予定では、以下の社会福祉法人に会計士監査が広げられる予定でしたが、今後、会計監査の実施状況、効果、課題等の調査を行い見直していくとのことです。

 2019年4月より収益20億円超または負債40億円超

 2021年4月より収益10億円超または負債20億円超

 

 


医療法人 29年度赤字法人の割合が増加

WAMが経営リポート

 福祉医療機構(WAM、中村裕一理事長)は1月31日、平成29年度医療法人の経営状況のリサーチレポートを公表しました。

 前年度と比べて事業収益対事業利益率は低下し、赤字法人の割合は増加したことがわかりました。

WAMは毎年度、融資先の医療機関等の経営状況について集計・分析します。今回1,284法人を対象に28年度と29年度を比較しました。

1,284法人の事業収益のうち主たる事業(収益額が5割を超える事業)は、病院主体は70.1%、老健施設主体は17.4%、診療所主体4.4%、その他8.1%となりました。

平均の事業収益は、約33.7億円で前年度よりも約4.8億円増加しました。

一方、事業利益は約5,700万円で約1,200万円減っています。事業収益対事業利益率は1.7%と、前年度より0.7%低下しました。

赤字法人の割合は22.5%と、前年度の20.4%から2.1%増加しました。

赤字法人の割合をみると、事業収益規模が20億円以上の法人は20~21%であるのに対し、20億円未満の法人は約24%と高くなっています。

事業収益規模が20億円未満の小規模法人は、実施事業数の平均が2事業に満たずに単一の事業を行う法人が多いことから、「一つの事業に収支が依存するため、事業収益対事業利益のばらつきも大きくなっている」と分析しました。

一方、事業収益規模の大きい法人でも実施事業数が多いほど赤字が少ない傾向がみられたため、「複数の事業を実施することで経営のリスクが分散される効果がある」としています。

(地域医業研究会からの情報)

 

 

所得税確定申告の季節 借入金について思うこと

 所得税確定申告の季節です。個人開業医の先生方の決算をみての感想です。

 もちろん先生方の開業のときからの税務業務をさせていただいて、10年、20年とお世話になっている方々や、ここ最近何年かの間に開業された先生、あるいは、開業後しばらくしてから理由があって当事務所で申告手続きをさせていただくようになった方々など色々です。

 先生方の顔を思い浮かべながら確定申告書に目を通しています。

 まず最初に目がいくのが借入金の残高です。

 私自身が開業したときにある大先輩に言われたことは、「資格商売だ。所長がダメ(病気)になればつぶれてしまう。60歳になるまでには、借入金はゼロになるようにしろ!」

 会計事務所の開業には1,000万円もかかりません。

 もちろん、先生方と開業にかかる資金も全く違います。少ない先生でも5~6,000万円ぐらい、多い先生では2億円ぐらいでしょうか。

 個人業種ごとの福岡国税局の申告統計からもわかるように医師の先生の平均的所得は2,160万円から2,380万円の間です。

 私は住宅ローンも含め借入金は数年前になくなってしまいましたが、ほっとしたことを覚えています。

 開業して相応の年数が経たれた先生方は、ほとんど借入金が終わり、もしくはほぼ目途がつき老後資金が既に、さらにこれからも貯まっていく一方だろうと思います。

 私のお客様はほとんどが初代の先生方ですので、生活費もしっかりコントロールされていらっしゃるようです。

 いくら所得があっても個人支出(所得の必要経費にはなりません)が多ければ、お金は貯まっていきませんから・・・。

福岡国税局の統計(平成29年)
所得税申告 事業者 人数 主たる者 所得金額
医療 診療所 2,366 2,147 51,275百万円
   歯科医 3,239 3,079 27,657百万円
弁護士 1,094 958 9,850百万円
税理士会計士 1,976 1,548 12,977百万円

 

 

 

=====================
※相続のご相談なら長公認会計士事務所 まで

HPアドレス   http://www.chou-acctg.com
電   話  092-731-4640
=====================