相続が発生したときの後継者の所得税の申告

アパート経営をしている方に

相続が発生したときの後継者の所得税の申告

 

< 青色申告の届出は相続発生後4ヶ月以内に >

 

相続対策として、賃貸アパートが大都市周辺に大量に建てられていると新聞報道されています。アパート建設により相続財産の評価は下がります。

一方、家賃収入があるものですから地主さんは毎年不動産所得の申告をすることになります。

通常、所得税の節税につながるため相応の規模の不動産賃貸であれば青色申告という届出を税務署に提出して、毎年所得税の確定申告をしていると思います。

 

【 青色申告の特例メリットの例 】

・不動産所得から65万円(又は10万円)の控除がある

・青色専従者控除が受けられる

・不動産事業で赤字が発生した場合、翌年以降3年間繰越せる

 

さて、この地主さんに相続が発生した場合、この不動産所得の事業はアパート建物を相続した相続人に自動的に引継がれます。

しかし、相続が発生してから誰がその物件を相続するか決まらず翌年の確定申告の時期まで未分割になった場合はどうなるのでしょうか?

この場合、不動産賃貸事業は法定相続人が法定相続割合で共有していると仮定して申告することとするのが所得税法のルールです。

つまり、法定相続人がそれぞれ確定申告することとなります。

また、被相続人が青色申告だったからといって、相続人も自動的に青色申告になるわけではありません。

相続人も相続発生から4ヶ月以内に青色申告の承認申請書を税務署に提出しなければなりません。

未分割で当分の間共有となると思われる場合は、相続人全員が青色申告の提出をすることになります。

なお、賃貸不動産の相続登記の費用は、不動産所得のための必要経費になります。

後日のトラブルをさけるために遺産分割が終わったら、すみやかな登記をおすすめします。

 

 

 

 

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遺産分割の際に留意すべきこと

遺産分割の際に留意すべきこと

【遺産分割の際に留意すべきこと】

◆相続人:母
●遺産分割で配慮すべき点
①2次相続の相続税が、少しでも小さくなっていくような財産を相続させる
②今後生活していくためのお金は確保しておく必要がある
③母の相続では父がいないので、将来もめるような財産を母に分与しておかないようにする

●優先すべき相続財産など
・建物や車などの減価償却資産は年の経過とともに減っていく
・お金も何年かすれば、必ず減っていく
・土地と建物の名義が異なる物件については要注意

◆相続人:長男(後継者)
●遺産分割で配慮すべき点
①会社の経営が安定するように株式を優先的に分与する
②うるさい兄弟には、少数の株式でも保有させるべきではない
③法人への父の貸付金については相続していく
④会社の資金繰りが大変な場合には、金融資産を相続する

●優先すべき相続財産など
・会社の株式は優先的に保有すべき
・うるさい兄弟が保有する株式は、永遠にもめる要因となる
・法人への貸付金については、長男が相続せざるをえない

◆相続人:長女(主婦)
●遺産分割で配慮すべき点
①相続税が支払いやすくなるものを中心に相続させる
②普通の主婦なら毎月お金が入ってこないので、賃貸物件を分与するのもひとつの方法である

●優先すべき相続財産など
・現金預金を相続財産のメインとして考える
・賃貸物件もけっこう感謝される

【心配のない方】

◆相続人:母
●遺産分割で配慮すべき点
少しでも1次相続の相続税が小さくなるよう、配偶者の法定相続分と
16,000万円のどちらか大きい金額までを相続する

●優先すべき相続財産など
・少しでも長生きして相続財産を有効に使って相続税を小さくしていく

 

 

 

 

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家賃保証について

相続対策でのアパート経営のトラブル

-家賃保証について-

一昨年の相続税改正で基礎控除が引き下がったことにより、相続税納税対象世帯が増え、少しでも相続税課税対象財産を軽減する目的での施策が増えており、その中でも土地の評価を下げる目的でのアパート・マンション・貸家などの建設がここ最近増えています。

平成27年3月26日付け日本経済新聞朝刊では「アパート融資 異形の膨張」との見出しで、かつてのサブプライムローン問題の再来になるのではないかと警鐘を発しています。そのアパート建設を促す一つの制度として、いわゆる家賃保証制度(サブリース・一括借り上げなど呼び名は複数)がありますが、これが落とし穴となって、その後オーナー(相続税対策当事者)に大きな損失を及ぼす可能性があります。

1.家賃保証とは不動産賃貸業にとっては、いかに入居率を上げ常に満室もしくはそれに近い形で短期に投下資金を回収するかが要諦になりますが、賃貸オーナーにとっては入居率を上げる、維持するということが頭の痛い問題になります。これを回避するのが不動産管理会社が一括の借り上げ契約で、本来収受できるはずの家賃から不動産管理会社との契約で締結された一定率の金額を払ってくれる保証契約です。

当然、不動産管理会社への手数料等が発生し、オーナー自身が全てリスクを負うよりも手取り金額は下がりますが、安定的に経営、投下資金の回収ができるという長所はあります。

2.家賃保証でおきるトラブルいわゆる当初の話しと違うということで、梯子をはずされた形で途中で入金が大幅に減額されもしくは途絶え、資金繰りが行き詰まり、最終的には借入金返済の代物弁済として、土地・建物が取られるというのが一番の悲劇です。多くは建設の際、資金を貸し付ける金融機関と不動産管理会社がタイアップして出す提案に盛り込まれていますが、市況や見通しにかなり無理があるプランで組まれているケースも多く、注意が必要です。

そのような観点から平成28年9月1日付けで国土交通省から家賃保証を巡るトラブル防止に向けて「サブリースに関するトラブル防止について」が通知され、不動産管理会社は家賃保証契約の前に将来における家賃変動のリスクと変動条件を書面で交付し、重要事項として契約者に対して十分説明を行うことの義務付けなど、手続きの改善を通知しました。

①      免責期間によるトラブル家賃保証の多くは、家賃保証ができないいわゆる免責期間が契約に盛り込まれていますが、中には不当に長い期間を設けているものもあり、注意が必要です。

②      契約解除によるトラブル不動産管理会社は契約後、安定的な利益が得られないと判断した場合、オーナーとの家賃保証契約を解除することがあります。契約締結前にしっかりと確認する必要があります。

③      家賃減額によるトラブル本来オーナーに示された金額よりその後かなり低い金額で貸し出されることで、オーナーの手取りが減少することが多く発生しています。不動産管理会社はリスクを下げるために家賃の引き下げを行いますが、オーナーへの事前説明が徹底していないなどでトラブルが発生しています。

④      建築費・修繕費・改装費によるトラブル建築費は良いとして、その後の修繕費・リフォームなどの改装費をオーナー、不動産管理会社のどちらが負担するのか曖昧なケースでトラブルになるケースが多発しています。

いずれにせよ、信用のある優良な不動産管理会社と契約をすれば、家賃保証制度そのものはオーナーにもメリットがありますので、十分な見極めと調査が肝要です。

 

 

 

 

 

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タワーマンション節税の行方

 

 

1.平成29年度税制改正

相続税においてタワーマンション節税(以下、「タワマン節税」)と言われるものが幅を利かせていましたが、この程平成29年度税制改正において、これに一定の是正措置とも言える固定資産税評価方法が導入されることとなりました。その影響はどのように考えられるのでしょうか。

 

2.タワーマンション節税

いわゆる「タワマン節税」とは、実際の取引価額と相続税評価額の差額が実際の取引価額(例えば、2億円)>相続税評価額(例えば、1億円)となることに着目して、タワーマンションを購入して課税遺産総額を圧縮し相続税額軽減を実現しようとするものです。

 

3.具体的検討

今回の税制改正で導人される規制の具体案は、高さ60メートル以上(およそ20階以上くらい)の高層マンションを対象に、1棟の固定資産税額を決定した上で、中間層から上に行くほど増税、下にゆくほど減税にする。負担額の変化は、1階ごとに0.25%程の率で変えてゆくというように固定資産税負担の按分ルールの見直しということになりました。

シミュレーションしてみると例えば40階建マンションの最上階の場合、約5%の増税となる見込みです。取引価額とのバランスを考えると、実際の取引価額の下落さえなければ、まだまだ節税効果は失われていないとも考えられます。

 

4.改正の適用時期等

上記改正は、平成30年度から新たに課税されることとなる居住用超高層建築物(平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く。)について適用するとしております。

したがって、従前から保有している高層マンションについては、特に固定資産税評価額の見直しはなく、これまで通りの水準での課税となります。

 

 

 

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養子縁組による相続税のメリット・デメリット

養子縁組

-養子縁組による相続税のメリット・デメリット-

 

相続税対策のために養子を増やすことは認められていませんが、養子縁組による相続税のメリットとデメリットがあります。

 

1.養子縁組による相続税のメリット

相続人が増えることで、次のような相続税を減らす効果があります。

①相続税の基礎控除(非課税枠)が増える

②生命保険の非課税枠が増える

③死亡退職金の非課税枠が増える

相続税の基礎控除は、【3000万円+600万円×相続人の数】となっていますが、養子が加わることで法定相続人の数が増えれば、相続税に基礎控除額が増加し非課税限度額が多くなります。

また、死亡保険金や死亡退職金の非課税枠も相続人1人に対して500万円増加します。

【控除額の計算式=500万円 × 相続人の数】

2.養子縁組による相続税のデメリット

逆に養子縁組を行うことで相続上以下のような問題も生じる可能性があります。

①遺産分割をまとめるのが大変になる可能性がある

②孫を養子にすることで相続税が20%増加する

③相続税の計算上、養子が認められない可能性もある

遺産分割で最ももめる原因となるのが、法定相続人の数が多いことです。

また、養子縁組をしていることを知らなかったという場合も考えられますので、むやみに養子縁組をして、トラブルに巻き込まれるのは残された相続人達です。

 

養子縁組をする際はよく考えてから行っていただくことをお勧めします。

 

 

 

 

 

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非上場株式の評価方法が見直されます

 

 

非上場株式の評価額としては、純資産価額、類似業種比準価額、配当還元価額がありますが、そのなかで、「類似業種比準価額」の計算方法が、平成29年度の税制改正で、見直されました。

「類似業種比準価額」の計算方法は①類似業種の株価、②配当金額、③利益金額、④簿価純資産額の4つの要素からなっておりますが、それらの要素に対して、以下の(1)~(3)のように改正がなされています。

 

(1)これまで、計算要素の比重が、配当金額:利益金額:簿価純資産額=1:3:1であったものを、配当金額:利益金額:簿価純資産額=1:1:1として、利益の比重が減りました。

(2)これまで、類似する上場会社の株価は、前年度のみであったものを、前2年間に追加して、急激な株価変動を平準化できるようにしました。

(3)これまで、比較する上場企業の数値は単体であったものを、連結決算のものを使用することに変更して、企業のグローバル経営についても反映させるようにしました。

 

今回の改正で大きな影響が出てくるのは、上記(1)の改正です。

これまでは、類似業種比準方式における利益の要素の比重が高いため、毎期の利益が高水準の企業においては株価が高額になりがちでしたが、改正後は利益の要素の比重が下がるため、利益が高水準の企業は株価が下がることが見込まれます。

一方、現行の評価方法では、利益が高水準の企業においては、利益を圧縮することにより、株式の評価額を下げることが可能でしたが今回の改正により、今後はそのような対策の効果は薄まることとなります。

 

この非上場株式の評価方法の改正は平成29年1月1日以後の相続・贈与について適用されます。

 

今後、自社株の贈与を予定されている方にあっては、新たな自社株対策を検討する必要があります。

 

 

 

 

 

 

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預貯金も、遺産分割の対象に

預貯金も、遺産分割の対象に

 

昨年12月、最高裁は、相続財産の取り分を決める「遺産分割」の対象に

預貯金を含まないとしてきた判例を変更し、「預貯金は遺産分割の対象に含む」

という判断を示しました。

過去の判例では、預貯金は不動産や株式など他の財産とは関係なく、

法定相続割合に応じて相続人に振り分けるとしてきました。

今回、最高裁は、「遺産分割は相続人同士の実質的な公平を図るものであり、

出来る限り幅広い財産を対象とするのが望ましい」としたうえで、「預貯金は

遺産分割の対象とするのが相当」と結論づけました。

この変更によれば、例えば、「兄は土地、建物等の不動産、弟は預貯金全額」

といった分割や、特定の相続人に多額の生前贈与があった場合の不公平な遺産分

割の解消につながるとされています。

 

一方で、この変更により、死亡直後に相続人が葬儀費用等に必要な、まとまっ

た資金を被相続人の預金から引き出す場合や、相続人が当面の生活に必要な資金

を引き出すケースで影響が出てきます。これまでの判例に従えば、遺産分割

をしなくても自分の法定相続分は引き出し可能だったからです。

このような場合、相続人からの引き出し要請に応じるかどうかは金融機関や

支店によって分かれるところでありますが、ある相続人の要請に応じて預金を

引き出したことで、他の相続人から訴えられることも想定して、基本的には

「相続人全員の合意がない限り引き出しには応じない」方向のようです。

これまでも、相続の手続き上、被相続人の預貯金を引き出す場合、まずは、

相続人間で預貯金だけの遺産分割協議書を作成して、その分割書通りの預貯金の

引き出し、移転が行われる場合が多いですが、預貯金のみの分割協議がまとまら

ない場合には、預貯金を引き出せない状態が長く続く可能性もあります。

その解決方法として、家庭裁判所の審判より簡易な手続きで金融機関へ

仮払いを申し立てる「保全処分」が検討されています。

 

いずれにしても、緊急に預貯金の引き出しが必要な場合には、まず、

預貯金だけでもスムーズに分割協議がなされることが重要になってまいります。

 

 

 

 

 

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相続税の増税の結果報告

 

平成27年1月1日以降発生した相続から相続税の大増税となります。

 

相続税の申告は10ヶ月後です。

そうすると、本当の意味で相続税の平成27年1月1日からの相続税の影響が出てくるのはその10ヶ月後からという事になります。

 

国税庁が平成27年1月1日から12月31日までの間に亡くなられた方の相続税の申告状況について統計を発表しました。

 

その要約は次のようなものです。

 

平成27年中に亡くなられた方は約129万人(平成26年約127万人)、このうち相続税の申告をするだけの財産を残された方は8.0%の約10万3千人(平成26年は4.4%の約5万6千人)でした。

平成26年より3.6ポイント増加しています。

 

税額は約4,000億円増えて、1兆8,116億円で、申告件数当りでは1,758万円(平成26年2,473万円)となっています。

 

相続財産が従来よりも少ない方からも相続税を取るというのが、平成27年の相続税の大増税の仕組みですから、申告件数の増加と1件当りの相続税の減少はつじつまが合っています。

 

尚、東京都では亡くなられる方100人のうち15人の方が相続税がかかるだけの財産を残されて亡くなられたとの事です。

 

 

 

 

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再婚したご夫婦の相続について

―子どものためと思った財産が遠くへ―

最近では離婚も珍しくありませんので、相続のご相談に再婚されたご夫婦やその相続人の方々も来られます。
ご夫婦は子供さんに恵まれず、ご主人が亡くなられた直後に奥様が亡くなられました。先妻との間には子供二人がいましたが、後妻は先妻の子供たちとは養子縁組していませんでした。
ご主人の相続時に奥様がご主人の財産の2分の1を相続されましたが、直後に奥様が亡くなられたためご主人から相続した財産と奥様の財産の合計を後妻の相続人が相続することになりました。
奥様のご両親は既に亡くなっておられるので、奥様の兄弟姉妹と先に亡くなられた兄弟姉妹の代襲相続人である甥、姪が相続人になります。このケースでは、後妻の相続人は生存している後妻の姉妹2名と甥、姪6名の計8名でした。
そのためご主人の財産の多くがご主人とはあまり関係の無い奥様の甥、姪たちに相続されることになります。
また、奥様の生命保険金の死亡時受取人は先に亡くなったご主人のままになっていました。
保険金の受取人は次の様になりました。

① A社保険金 夫の息子2名

② B社保険金 夫の息子2名が2分の1と後妻の相続人の姉妹、甥、姪全員で残り2分の1

③ C社保険金 生存している後妻の姉妹

④ C社の特約還付金と生存給付金 後妻の相続人である兄弟姉妹と甥、姪

 

受取人が亡くなった後変更せずにそのままになっていることがよくありますが、保険会社の約款により受取人が全て異なってくることになりました。

亡くなった後の遺族の生活等を考えて加入する保険金が、本人の思いとは全く違う受取人により受け取られることになりかねません。
約款をよく確認して受取人の変更等が必要です。

 

法律的に有効な遺言

法律的に有効な遺言

―こんな遺言には気をつけて―

自分の死後、家族が揉めないように、遺産の相続を自分で決めたいと遺言を残したいと思っている人は少なくないと思います。

遺言というと、まず「自筆証書遺言」を思いつくでしょうが、以下のような問題が起こりやすいので、気をつけて下さい。

 

1.PC等活字で書かれた遺言書

財産を全て書き出し、それを誰に相続させるか、PCで明確な活字で書き連ねた遺言は残念ながら無効です。

遺言書は、公証人などを介さない場合、全文自筆で書く「自筆証書遺言」でなければならないのです。

日付と氏名も手書し、押印が必要です。

 

2.本人の遺言をビデオで撮影して記録

わかりやすくと遺言を話している自分を撮影しておく遺言も無効です。

危篤の場合や伝染病隔離者等でない限り、公証人を介さない遺言書はやはり「自筆証書遺言」しか認められないからです。

 

3.相続させたい不動産や預金などの記載が不明確

「自宅は同居している長女に、預貯金は次女に」も無効か、相続人の間では理解できるかもしれませんが、実際に名義書換する場合に第三者(法務局や銀行)では特定できないため手続が煩雑になります。

 

4.遺産は子供Aに「任せる」などの被相続人の意思が不明確 「私の死後、財産は長男に任せる」などの記載では、長男に相続させたいのか、相続に関する協議のイニシアティブを任せたいのか分からず、結局相続人全員で遺産分割協議をして遺産を分割することになります。

 

5.相続人に対して「与える」や「やる」という表現をしている 「自宅は長男に与え、預貯金は次男にやる」などの記載も、遺贈(遺言による贈与)と解釈される場合もあり、その場合は遺言執行者(遺言を被相続人の代理人として執行する)を選任するか、相続人全員から同意を得て、名義書換をすることになります。

 

もし遺言を残したい、遺言書を作成したいと思うのであれば、まずは一度専門家に相談することをお勧めします。